代行運転なのに「二種免許」不要? コスパ向上と注目の新サービス、果たして法令違反は無いのか

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通常はスタッフふたり、かつ第二種免許を有して行う運転代行。このたび登場したサービス「ONEMAN」は、スタッフひとりで二種免許不要、それによりコストカットが可能という点を売りにしている。その仕組みを詳しく検証する。

二種免許が要らない根拠とは

質問1:当該サービスを提供することが、自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律(平成13年法律第57号。以下「自動車運転代行業法」という。)第2条第1項に規定する「自動車運転代行業」に該当しないこと。

回答1:当該サービスは、代行運転自動車に随伴用自動車が随伴しないで他人に代わって自動車を運転する役務を提供するものであり、自動車運転代行業法第2条第1項第3号に規定する「常態として、当該自動車に当該営業の用に供する自動車が随伴するものであること。」との要件に該当しないことから、同法に規定する「自動車運転代行業」には当たらない。

質問2:当該サービスを提供することが、道路運送法(昭和26年法律第183号)第2条第3項に規定する「旅客自動車運送事業」に該当しないこと。

回答2:「他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して旅客を運送する事業」については許可が必要である(道路運送法第2条第3項、第4条第1項)。

 このうち、「他人の需要」とは、他人の運送要求をいう。また、「自動車を使用して」とは、主体的な立場において自動車を運行の用に供することをいう。利用者の運送要求に対し、運転者と自動車が実質的に一体として提供されている場合は、当該運転者が主体的な立場において自動車を運行の用に供するものと評価され、同法第2条第3項に規定される「旅客自動車運送事業」に該当し、同法第4条第1項に抵触することとなる。

 当該サービスは、照会者又は照会者より事業委託をうけた者(以下、「照会者等」という。)が、利用者の運送要求に応じ、利用者の自動車に対して、運転役務の提供をすることが前提とされており、直ちには同法第2条第3項、第4条第1項に抵触しないが、例えば以下の場合には、利用者に対して運転者と自動車が実質的に一体として提供されるものと評価され、同法第2条第3項、第4条第1項に抵触する。

(1)利用者の所有する車両の調達に当たって、契約名義が利用者であっても、照会者等が車両代金を支払う等主体的に自動車を提供している場合

(2)照会者等が利用者に対し車両調達先の紹介・あっせんを行う場合。なお、本件事業の実施に当たっては、当事者が以下を認識した上でサービスの提供及び利用が行われるよう、ウェブサイトその他適切な方法で明確に周知することが望ましい。

・本運送は道路運送法上の規制の対象外であり、同法が定める輸送の安全及び利用者の保護のための措置が担保されているものではないこと
・事故が生じた際の責任の所在
・保険の加入の有無及び補償内容

質問3:当該サービスにおけるサービス提供スタッフが、道路交通法(昭和35年法律第105号)第86条第1項及び同条第5項に規定する第二種免許の取得を要しないこと

回答3:第二種免許は、旅客自動車を旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で運転しようとする場合及び自動車運転代行業法第2条第6項に規定する代行運転自動車(普通自動車に限る。)を運転する場合に必要とされるものであり、当該サービスがいずれにも該当しない場合には、第二種免許は不要である。

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