ビール大国ドイツ危うし! 「トラックドライバー不足」でビール瓶も足りない事態が勃発していた

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ドイツで現在、ビール瓶不足が懸念されている。原因は「エネルギー価格の高騰によるビール瓶価格の高騰」だけでなく、トラックのドライバー不足」にあるという。

この夏ドイツでビール瓶が不足する理由とは

ドイツビールを飲む女性(画像:pixabay)
ドイツビールを飲む女性(画像:pixabay)

 2022年の夏がひときわ暑いのは、ヨーロッパも同様だ。暑い夏を迎えるにあたり、ドイツでは春先からビール瓶不足が懸念されていた。

 ドイツの醸造所協会の幹部によると、

・エネルギー価格の高騰によるビール瓶価格の高騰
・トラックドライバーの不足

に起因しているという。そこで今回は、ドイツにおけるドライバー不足の背景について探ってみた。

 5月の下旬、ドイツの醸造所協会の幹部がBild紙のインタビューで、ビール瓶不足の懸念を表明していた。ひとつ目の理由は2021年より約80%も高騰したビール瓶価格、ふたつ目は物流の逼迫(ひっぱく)による空き瓶の回収遅れにあるという。

 特に小中規模のビール醸造所は、空き瓶のリサイクルに頼る部分が大きく、2022年は一段と厳しくなるといわれている。

 ドイツでは一般的に、瓶ビールは地元で消費されるビールを中心に使用され、缶ビールは地域をまたいで販売するビールに使用されてきた。実際、半径50kmの地域に瓶ビールを販売し、空き瓶を回収して再利用するサイクルを確立している小中規模の醸造所が多い。

トラックドライバー不足の背景

ドイツの物流トラック(画像:pixabay)
ドイツの物流トラック(画像:pixabay)

 空き瓶の回収遅れの原因は、物流の逼迫、つまりトラックのドライバー不足にあるという。

 ドイツでは現在、トラックドライバーが8万人不足している。そして、不足人数が年々拡大している。というのは、毎年約3万人が高齢により退職し、約5000人が何らかの理由でドライバーを辞めているにも関わらず、新たなドライバーが1万5000人しか入ってこないからだ。

 ドイツのロジスティクス協会の広報担当者は、このような現状について

「ドライバー不足の理由はさまざまであるものの、運送会社や従業員に対して定められたドライバー育成条件が厳しすぎることや、若い労働者のライフワークバランス意識の変化にある」

と述べている。

 実際、ドライバーひとりあたりの育成に関わるコストは、運転免許やその他資格、技能の取得も含めて1万ユーロ(約140万円)以上といわれている。個人のみならず事業者が負担するには、金額が大きすぎるのだ。

 それでは、ドライバー育成コストの高さにもかかわらず、なぜ今までドライバーが確保できたのか。それは「徴兵制度」と密接に関わっていたからだ。要するに、ドイツ軍でトラックドライバーの資格を取得し、兵役を終えたあとにドライバーに転職していたのだ。徴兵制度が廃止された現在、トラックドライバーの後継者がいなくなるのは自然な流れだった。