中国CATLの新型バッテリー登場! テスラ4680を上回った「CTP技術」とは何か?
車載電池の世界最大手が発表

車載電池の世界最大手、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)は、CTP(セルトゥーパック)テクノロジーの第3世代を採用した新型バッテリー「Qilin(チーリン・麒麟)」を発売した。
記録的な72%の体積利用効率と、最大255Wh/kgの重量エネルギー密度を達成。これによって、テスラが搭載していることで知られる4680バッテリー(直径46mm・高さ80mmの円筒型セル)と同じ重量で換算した場合、13%多い電力を蓄積することに成功した。
このQilinバッテリーは2023年には量産を開始し、市場投入される計画だ。
セルトゥーパックとはなにか
セルトゥーパックとは、バッテリー内部の集積度を高めるための技術だ。車載のバッテリーパックは通常、電解液と電極を包んだ最小単位であるセル、そのセルをひとまとめにしたモジュール、そのモジュールを複数格納したバッテリーパックという構成になっている。
セルトゥーパックは、そのモジュールを簡略化し、セルを直接パックの中に詰め込むことで集積度を高めたもの。体積あたり、および重量あたりのエネルギー密度を向上させることで、バッテリーパック全体のコンパクト化と軽量化を実現することを狙っている。
日系自動車メーカー各社の車載バッテリーにおいては、モジュールごとにセルの温度管理や劣化度合いを厳密にマネージメントし、安全性を担保するケースが多いのだが、CATLや、同じ中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)は、さらなる高効率化を目指して、このセルトゥーパック技術を競って進化させてきた経緯がある。
CATLやBYDがモジュールを簡略化するために採用したのは、大型の角型セルだ。角型の形状にして、
・セルの冷却効率を向上
・モジュールの冷却システムや配線を簡略化
することに成功した。さらに、パック内にセルを効率よく収められるようになっている。
このセルトゥーパック技術は、中国勢だけではなく、ゼネラルモーターズ(GM)と韓国のLG化学との合弁となる「Ultium Cells(アルティアムセルズ)」でも採用される見込み。このCATLの「Qilin」およびBYDの「ブレードバッテリー」と並んで、セルトゥーパックのバッテリーとして名前が知られることになりそうだ。