再評価が進む「路面電車」 開業が最も期待できる都市とは? ふさわしい都市規模も検証する
路面電車が「都市の公共交通」として見直されている。いったいなぜか。
低床化・長編成化する路面電車
いま、路面電車が「都市の公共交通」として見直されている。
・バスよりも比較的多い輸送力
・脱炭素社会への適合
・わかりやすい路線網
という観点から、路面電車の価値が注目されている。
路面電車の停留所があると、『JTB時刻表』(JTBパブリッシング)にも掲載される。そんな路面電車が、いま変わりつつある。
従来、路面電車は編成の短い乗り物だと思われてきた。1両の電車も多く、輸送力はバスより多少あるかないか程度、という考え方で見られてきた。その上、停留所から乗るには段差があり、足腰の悪い人にはつらい乗り物だと思われていた。
ところが、近年の路面電車では、床が低く乗る際に段差のない車両が導入されるようになった。バリアフリー対応だ。運転士の介助さえあれば、車いすの人でも簡単に乗れるような低床車両が、次々に各地の路面電車に導入されている。
一方、輸送力という点でも改善が見られている。
長編成の路面電車が各地に見られるようになった。例えば広島電鉄では、「グリーンムーバー」と呼ばれる連接車両が多く走るようになり、政令指定都市・広島での都市内公共交通で輸送力を確保している。グリーンムーバーの中でも「Green mover APEX」として知られる5200形電車は、定員が151人である。
低床化と長編成化により、鉄道の特徴である輸送力を増強することができ、かつ路面電車ということで地下鉄のように乗車までに時間がかかるということもない。一般の利用者にとっては、もっとも手軽に利用しやすい鉄道なのだ。