再評価が進む「路面電車」 開業が最も期待できる都市とは? ふさわしい都市規模も検証する

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路面電車が「都市の公共交通」として見直されている。いったいなぜか。

近年の路面電車の動きは

富山ライトレール(画像:写真AC)
富山ライトレール(画像:写真AC)

 路面電車が再注目されるなかで、新路線の開設なども進んでいる。わかりやすい例が富山県富山市の富山地方鉄道だ。

 富山市では公共交通を軸としたコンパクトな街づくりをめざすため、路面電車を生かすことを決めた。その一環として、環状線を2009(平成21)年12月9日より運行することにした。また、単線区間の複線化など利便性を向上させる施策も行った。

 一方、富山市にはもうひとつ路面電車があった。富山港線から次世代型路面電車(LRT)転換した富山ライトレールだ。

 富山市にある複数の路面電車を富山駅で接続、経営も一体化することになった。北陸新幹線開通により、高架化された富山駅の地上部分で旧富山ライトレールの路線と接続、北陸新幹線やあいの風とやま鉄道から下車したらすぐに路面電車に乗り換えられるようにした。富山駅の停留所は2015年3月に開業し、2020年3月には旧富山ライトレールだった路線と接続し、直通運転するようになった。

宇都宮で新路線開設も

宇都宮ライトレール(画像:宇都宮ライトレール)
宇都宮ライトレール(画像:宇都宮ライトレール)

 地下鉄があるような都市でも路面電車は活躍している。

 北海道札幌市の札幌市電は、札幌市内に地下鉄ができるようになり、地下鉄とバスを市内の公共交通の基軸にしようとしたものの、1974(昭和59)年に一部の路線が残った。その路線で長いこと運行していたが、市の中心部に乗り入れることが検討されるようになった。

 2015年には西4丁目停留所からすすきの停留所までの路線が新規にでき、環状線となった。これにより、利用者が増加した。

 路面電車の新路線開設もついに現れた。宇都宮ライトレールだ。

 LRTとして、併用軌道と専用軌道を走行し、将来は専用軌道区間では70km/hの速度が出せるようにして速達性も保ちたいということになった。併用軌道でも、特認を得て50km/hまで出せるようにした。宇都宮駅東口と芳賀・高根沢工業団地を結ぶ。3車体連接車が導入され、定員は160人となっている。

 このように、路面電車には新しい動きが相次ぎ、再注目の中で支持を集めているのだ。

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