ロシア「自滅説」はいずこへ? サハリン2「接収」で反撃、退路絶たれた日本のエネルギー政策の行方とは

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プーチン大統領が、「サハリン2」の事業主体をロシア企業に変更することを命じる大統領令に署名した。日本企業も出資する同プロジェクト。今後どうなるのか。

早々に干上がらなかったロシア

サハリン(画像:写真AC)
サハリン(画像:写真AC)

 その結果としての今回の大統領令だが、まだ移管手続きや条件も提示されてはいない。

 大統領令では運営会社を新たに設立し、外国株主は新会社設立から1か月以内にロシア側が求める条件で、新会社の株式取得に同意するか回答を求める、とされているだけだ。つまり、この大統領令も制裁に参加する日本への

「新たな揺さぶり」

という見方もできる。

 3月頃に誰もが想像していた、石油・天然ガス禁輸で、ロシアが早々に干上がるというもくろみは完全に絵に描いた餅となった。

 産油国であるアメリカでも、国内のガソリン価格が過去最高水準にまで高騰し、秋の中間選挙を控えたバイデン大統領は、議会にガソリン税の免除を提案。さらに、海外向けには石油の輸出停止も検討しているほどだ。

 エネルギー価格の高騰は輸送コストの上昇から、物価高騰へと至っているが解消の見込みはない。こうしたなかでのサハリン2の権益をめぐる問題は、日本の社会を根底から揺さぶるものになりそうだ。

 既に対ロ制裁がまったく効果がないのは明らか。いま日本が考えるべきは、迫り来るエネルギー危機をどう乗り越えるかだろう。

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