もはや遊園地? 全国各地の「道の駅」が近年、大変身を遂げている理由

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観光地の幹線道路に必ずと言っていいほどある「道の駅」。そんな道の駅が近年、大きな変化を遂げているのをご存じだろうか。その理由とは。

興隆の背景にあった「観光ドライブイン」

ドライブインのイメージ(画像:写真AC)
ドライブインのイメージ(画像:写真AC)

 道の駅がはじまった1991年より前から、観光地へ向かう幹線道路沿いの立地は非常に注目されていた。当時は国内のモータリゼーションの発達によってマイカーによる国内旅行が活発化し、大量の観光客が通過する幹線道路沿いは大きな集客ポテンシャルを有するようになっていた。

 駐車場、トイレ、レストランを複合したドライブイン的施設を幹線道路沿いに開発すると、たとえその立地自体が観光地でなくとも、多くの観光客の利用を獲得することができた。

 また、当時は観光バスでの団体ツアーが多かった時期で、観光バスの立ち寄り場所ともなるとさらに大量の観光客の利用が見込めた。

 そのため、一般ドライバーや観光バスの立ち寄りの促進を図って、単なる食事休憩だけではなく、地元の土産物を物色できる物産館的ショップやミニミュージアムのようなレジャースポットを複合した「観光ドライブイン」と呼ばれる施設の開発が活発化した。

 道の駅は、観光ドライブインの集客スキームがベースにあると言える。

道の駅の管理・運営者は誰か

道の駅の管理・運営者の割合(画像:内閣府のデータを基に、Merkmal編集部で作成)
道の駅の管理・運営者の割合(画像:内閣府のデータを基に、Merkmal編集部で作成)

 当初の道の駅の開発趣旨では、高速道路におけるサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)のように一般道でもドライバーの利便性のための施設が必要であり、民間のドライブインでは24時間の利用ができなかったり、ドライブインの利用者以外はトイレや休憩ができなかったりするということから、公設施設の開発が必要としていた。

 そのため、24時間・無料で利用できる大型の駐車場・トイレの設置が登録のための開発要件となっている。結果的に道の駅は観光客のニーズを大きく吸収し、ドライバーの利便性だけでなく、地域のアンテナショップとしての位置づけがより大きくなっていった。当時、地域振興のための地元資本の観光ドライブイン開発が各地で計画されていたが、道の駅の開発スキームがはじまったことにより、民間が主導する開発は下火となった。

 道の駅の管理・運営は、平成25年7月時点の内閣府データによると、

・自治体:15.7%
・第三セクター:31.1%
・財団法人等へ委託:8.9%
・指定管理者:44.3%

となっている。

 指定管理者の比率が最も高くなっているが、その内訳には農業協同組合(JA)などが見られる。道の駅は、地域の農産物を扱う産直施設を積極的に導入していったことから、地域の農業振興の拠点ともなっていった。

 さらに、農業6次産業化が推進されるようになると、道の駅は地域の農産物を使用して、新たに開発した加工品や飲食メニューの販売・提供の場としても機能するようになる。直接消費者の反応や売れ具合を確認することができるため、マーケティングの場としての役割も担っていると言えるだろう。