QRコード決済に完敗した「Suica」 ICカードの運命、今後どうなる? そもそもなぜJR東日本の半分の駅でしか使えないのか
JR東日本でSuicaが使えるのは約半分だけ
首都圏で導入が始まったSuicaは、画期的なサービスだった。
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改札機にタッチするだけで、精算ができるだけでなく、紛失時の再発行も可能。クレジットカードとひも付けすることでオートチャージもできる。携帯電話用の「モバイルSuica」はオートでなくとも、任意の金額のチャージが可能だ。
20年間で、使える店舗は確かに増えた。しかし、Suicaが使える場所として思いつくのは、鉄道駅のほか、駅ビルに入居しているショップかコンビニくらいだ。
また、Suicaを取り扱うJR東日本の全駅で利用できるわけでもない。2021年末時点で、JR東日本でSuicaが使えるのは全1630駅のうち
「840駅」
だけとなっている。しかも、首都圏の大都市の路線に集中している。
なぜ全駅で対応していないのだろうか。それは、Suica対応の改札機は設置コストが高く、利用者の少ない駅では導入が見送られてきたからだ。同様に商店でもSuica対応はコストがかかることから普及しなかった。対して、QRコード決済は商店でも導入のコストが少ないため、爆発的な普及を見せた。
現在、鉄道はQRコード決済に対応していないが、さらに普及することを見越した準備は進んでいる。
交通カードを廃止する広島電鉄
JR東日本は2021年、切符の投入口をなくしたQRコードリーダー内蔵の改札機の実証実験を行った。この改札機は、QRコードをスマートフォンに表示したり、紙に印刷したりしてかざし、改札を通過するというものだ。
一方、広島電鉄は2022年3月、現在使われている交通カードを廃止してQRコードを使った新カードに移行することを発表して話題になった。一見すると、PayPayなどのQRコード決済で路面電車などに乗れるようになったと思いきや、そうではなかった。
現在、広島周辺の交通事業者が共同利用している交通系ICカード「PASPY」に代わり、広島電鉄はQRコードを使った新乗車券システムの導入を目指していたのだ。
PASPYを利用する32社でつくる運営協議会では、機器の老朽化を理由として、2025年3月までに終了することを決めていた。それに代わる新システムとして提案されたのがQRコードを使った新システムだった。
ところが導入コストは安いものの、JR西日本の「ICOCA」との接続が不透明という問題があった。そのため、広島電鉄の提案した新システムの利用を決めた事業者は少ない。