大阪メトロ「10系」はなぜ第3軌条車両初の「冷房車」になれたのか? 7月引退を機に考える
ついに天井がオールフラットに

第3軌条車両の冷房車は、今まで冷房装置が搭載された部分の天井が低くせざるを得ない難点があった。それを解消するには、さらに薄くするしかない。
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究極の薄型冷房車の先陣を切ったのは、名古屋市営地下鉄東山線用のN1000形(がた)で、2007(平成19)年に登場。厚さは不明ながら、車内の天井がついにオールフラットとなった。しかし、1台あたりの冷房能力は、1980(昭和55)年に登場した5000形と同じ毎時1万2500kcalのままである。
大阪市営地下鉄も再び冷房装置の薄型化に取り組み、2008年に30000系が登場。厚さは東京メトロの車両より高い285mmではあるが、天井のオールフラット化が実現。さらに冷房装置を従来の車端部から車体の中央に寄せることで、車内温度の均一化を図った。
併せて冷房能力も1台につき毎時2万2000kcalに向上した。マイクロコンピューター制御による車内温度、車外温度、乗車率などに応じたきめ細かい温度管理が行われていることもあり、車内の快適性がいっそう高まった。
今後はオールフラット構造の普及と冷房能力のさらなる向上が課題

現在、天井がオールフラットの第3軌条冷房車は、名古屋市営地下鉄N1000形、大阪メトロ30000系、御堂筋線と相互直通運転を行う北大阪急行電鉄9000形(けい)のみだ(注:北大阪急行電鉄と後述の横浜市営地下鉄の車両は、「形」と書いて「けい」と読む)。意外と普及していない。
東京メトロは2011(平成23)年、銀座線用の車両として1000系を導入。冷房能力は1台につき毎時2万kcalに拡大するとともに、薄型化を図ったが、それでも冷房装置搭載部分の天井はわずかに低い。2018年に登場した丸ノ内線用の2000系も同様である。
2021年に登場した横浜市営地下鉄ブルーライン用の4000形も冷房装置搭載部分の天井の高さは3000形なみに低い。今後の改良に期待したいところだ。
もうひとつは冷房能力が架線式の電車より劣ること。東京メトロの架線式電車、日比谷線用の13000系、有楽町・副都心線用の17000系、半蔵門線用の18000系の冷房能力は、1両につき毎時5万kcalに向上されており、猛暑時、酷暑時の快適性が一段と高まった。今後、第3軌条車両の冷房能力が架線式の電車に追いつき、追い越すことができるのかに注目したい。