東武鉄道「新卒初任給」引き上げの衝撃! 人材不足は最新技術に頼らず、「待遇向上」で補え

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東武鉄道の新卒初任給引き上げが話題になっている。この対策は鉄道会社の人手不足解決の一端となるか。

JR各社で減少する駅職員・運転手・車掌

鉄道統計年報のデータ(画像:国土交通省)
鉄道統計年報のデータ(画像:国土交通省)

 例えば、JR西日本はコロナ禍前の2019年10月、2021年春のダイヤ改定から、大阪や京都、三ノ宮などの主要駅で終電時刻を30分ほど早めて、午前0時前後にすることを発表していた。保守作業員が不足していたためだ。

 近畿の在来線では、約1500人が100か所以上で保守作業に従事しており、人材難は深刻だった。始発までの深夜作業、週休1日のシフトという体制が敬遠され、JR西日本のグループ会社では、2018年度までの10年間で作業員が約23%減少する深刻な状態になっていた。

 終電繰り上げにとどまらず、人手不足への対応は各鉄道会社にとって極めて重要な課題だ。2012年度と2019年度の駅職員・運転手・車掌の数を比較すると、

●私鉄(2012年度)
・駅職員:2万2528人
・運転手:1万6535人
・車掌:8965人

●私鉄(2019年度)
・駅職員:2万2575人
・運転手:1万6994人
・車掌:9145人

●JR各社(2012年度)
・駅職員:2万3067人
・運転手:1万9508人
・車掌:1万2756人

●JR各社(2019年度)
・駅職員:1万9744人
・運転手:1万7750人
・車掌:1万1083人

となっている(国土交通省「鉄道統計年報」)。人材の確保に関しては私鉄よりもJR各社のほうが問題を抱えているのだ。

 これを解消するための手段として、2012年12月にJR東日本が打ち出したのが「ワンマン運転の導入」だ。2025年度以降に検討をしているという。計画では、山手線全線のほか、京浜東北線などの一部区間でも導入。安全確保は、運転席から安全確認できるカメラを設置することで対応する。

 また、発車から加減速・停車まで、多くの操作を自動でできる自動列車運転装置(ATO)の導入も急がれている。自動運転が導入されれば、国家資格である運転免許のない社員でも対応できる。

 人手不足解消のための画期的な手段と考えられているのか、実験を行っている鉄道会社は多い。JR東日本は山手線や新幹線で、JR西日本は大阪環状線で、JR九州は香椎線で実験を行っている。

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