JR東の減便で、栃木の高校「授業時間」繰り上げに! 今一度考えたい、鉄道と利用者のあるべき姿とは
列車の運行時刻が変更された影響で、高校が授業時間の変更を余儀なくされた例がある。鉄道と利用者、双方にとっての「最適解」とは何か、あらためて考える。
「朝の読書」中止に
これは、現状を踏まえた柔軟な対応ともいえるが、そのために前年度まで行われていた「朝の読書時間」は取りやめとなった。
栃木県教育委員会の高校教育課によれば、始業前に設定された読書時間は正課ではなく、習得すべき単位数に影響はない。とはいえ、生徒にとっては学習への「準備体操」のような時間だったはずで、学校生活が慌ただしくなったことは間違いない。
同校は「授業の繰り上げで何とかしのいでいる状況」と説明するが、地元紙の下野新聞が5月、この問題を大きく報じて以来、問い合わせが相次いだとのことで「生徒が困っていることもあり、これ以上の取材はお断りしている」と言葉少なだった。
大なた、上下6本削減
今回のダイヤ変更では、単に列車の運行時間帯が変わっただけでなく、当該区間(東北本線黒磯~新白河間)の運行本数を上下6本も削減するという大なたが振るわれた。
コロナ禍による旅客の急減を受け、JR東日本が発表した2022年3月期連結決算の最終損益は949億円の赤字で、2期連続の最終赤字に。こうした厳しい状況が、「減量ダイヤ」として、ここにも反映されたわけである。
管轄するJR東日本大宮支社は、当該区間の利用状況について「非常に厳しい」と明かす。もとより栃木と福島の県境をまたぐ需要の「谷」に位置するとあって、ワンマン化は早くも1990年代後半に実施、無人駅も複数ある。
「本線」の名こそあれ、実態はローカル線なのだ。
東北新幹線の開業(1982年)以降、収入を支えた特急・急行列車が減少(現在は皆無)した現状は、整備新幹線と並行在来線の関係を先取りしたものともいえる。