JR特急で「スーパー」「ワイドビュー」の名前をほとんど見かけなくなったワケ
「スーパー」「ワイドビュー」衰退の背景

スーパーの列車愛称は
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・時速130km運転
・停車駅が少ない速達列車
・ゆとり重視の列車
を中心に付与された。言葉の響きがよく新鮮に聞こえる半面、衰退が早かった。その理由として考えられるのは「後継車両の登場」「既存車両と新型車両の共存」「スーパーの名にそぐわない」の三つだ。
●後継車両の登場
JR西日本の特急「スーパー雷鳥」は、新型車両683系の登場に伴い、2001(平成13)年3月3日のダイヤ改正で廃止され、大阪~金沢・富山方面間の時速130km特急は「サンダーバード」に統一された。
JR東日本は、先述の常磐線で停車駅を絞った速達型の特急「スーパーひたち」(651系)、停車駅が多い特急「フレッシュひたち」(大半がE653系で、一部は651系で運転)があり、基本的に専用車両で運転されていた。その後、後継車両(E657系)の登場で両列車とも車種統一を図ったことから、2015年3月14日のダイヤ改正で前者は「ひたち」、後者は「ときわ」に改称された。
中央本線でも停車駅を絞った速達型の特急「スーパーあずさ」(E351系)、停車駅が多い特急「あずさ」(E257系)があり、いずれも専用の車両で運転されていたが、こちらも後継車両(E353系)の登場で両列車とも車種統一を図ったことから、2018年3月17日のダイヤ改正で「あずさ」に統一された。
東海道本線でも、ゆとりを重視した251系の特急「スーパービュー踊り子」が運転されていたが、2020年3月14日のダイヤ改正でE261系の置き換えに伴い、「サフィール踊り子」に改称された。
●既存車両と新型車両の共存
JR西日本の紀勢本線では、パノラマグリーン車つきの特急「スーパーくろしお」「オーシャンアロー」、パノラマグリーン車なしの特急「くろしお」が運転されていたが、2012年3月17日のダイヤ改正で新型車両287系を投入することになった。パノラマグリーン車なしの車両ではあるが、座席などの設備面が既存車両より上回ることから、全列車が「くろしお」に統一された。
●スーパーの名にそぐわない
JR北海道では自社設計の在来線特急形車両について、ハイグレードな車内設備や時速130km運転を行うことも相まって、特急の列車愛称をすべて「スーパーつき」としていた。しかし、2010年代に入ると事故や不祥事が相次いでしまう。安全最優先に取り組む一環として、北海道新幹線開業前の青函トンネルを除き、時速130km運転をとりやめた。さらに特急「オホーツク」「大雪」以外はすべて自社設計の車両で運行されていることもあり、2020年3月14日のダイヤ改正でスーパーの使用をとりやめた。
JR東海も2022年3月12日のダイヤ改正で、「(ワイドビュー)x」の列車愛称を取りやめた。ワイドビュー車両の登場から30年以上経過したこと、次世代特急車両のHC85系の側窓がキハ85系より小さいことで、ワイドビューの名にそぐわないのだろう。
現在、スーパーの名がつく列車愛称は、JR西日本の特急「スーパーいなば」「スーパーおき」「スーパーまつかぜ」、智頭急行の特急「スーパーはくと」、一畑電車の特急「スーパーライナー」、小田急電鉄の特急ロマンスカー「スーパーはこね」である。