物流業界の「社会的地位」はなぜ上がらないのか? 後絶たぬ事故、コスト管理やモラル向上はどこへ
業界全体のモラルが厳しく問われている物流。その現状を五つの観点から読み解く。
5. 競争戦略の必須要素
昨今の商品価格改定には必ず物流コスト上昇が理由として挙げられ、売上高に対する物流費比率はたかだか数%に過ぎないが、極めて重いということになっている。
共同配送の実施などで、よりコスト削減に努力するといった付帯条件が添えられることもある。
そうであるならもっと物流に真剣に取り組むべきで、今さらながらどう物流管理をやってきたのかとも言いたくなるが、過去を振り返ってみても仕方がない。
企業内において、物流業務は決して陽の当たるものではない。まずは経営がこれを変えていかなければならない。
物流コストが国策として問題になるのなら、競争戦略にもっと位置付けて、荷主および物流業界に働き掛けていくべきである。
物流事業の規制緩和もすでに終わったわけではない。アメリカや韓国では、究極のトラック事業はすでに1台から認められており、それは自己責任を前提とした形に他ならない。
組織的企業と個人事業者が競争するということは、もう始まっているのである。これは別にトラック事業だけではないはずだが。