地方でよく見る? 閉店したサービスステーションが「そのままの姿」で放置されている理由

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経営状態が良いにもかかわらず、サービスステーションの廃業が続出している。経営状態を冷静に分析し、早期に廃業するよう指導すべきだ。

強力な廃業の指導が必要

地方のサービスステーションのイメージ(画像:写真AC)
地方のサービスステーションのイメージ(画像:写真AC)

 では、SS運営業者が円滑に廃業するには、どうすれば良いのだろうか。いろいろなポイントがあるのだが、ひとつだけ挙げるとすれば、早期の決断である。

 借入金と設備撤去費用など廃業費用の合計が保有資産額を下回っているうちなら、廃業し、経営者は老後を過ごせる。これが、経営状態が悪化して借入金と廃業費用の合計が保有資産額を上回ると、廃業したくてもできなくなってしまう。経営状態を冷静に分析し、早めに廃業を決断することが大切だ。

「近隣の業者がどんどん廃業し、4年前から地域で唯一のSSになりました。そのため、お客さまや自治体から『絶対に廃業しないでほしい』と懇願されています。しかし、私も年だし、家族の生活もあるので、どこかで踏ん切りを付けなければなりません。すごく悩んでいます」(東北地方の業者)

 最後に、国の政策についても触れておきたい。経済産業省は、SSを廃業し地下タンクを撤去する場合、経済産業省の「過疎地等における石油製品の流通体制整備事業」で対象に認定された撤去費用について、補助率3分の2で補助金を支給している。

 これは、SSの廃業を円滑に進めるために必要不可欠な政策だが、あくまでも廃業を決断したSS運営業者への支援である。早期の決断が何より重要であることから、経営者に廃業の決断を促す政策も必要ではないだろうか。

 具体的には、中小企業診断士など経営の専門家を活用して、SS運営業者の経営状態を診断し、早期に廃業するように指導する。指導に応じた場合には、補助金や税制優遇など何らかのインセンティブを与える。

 1963(昭和38)年に中小企業指導法が施行され、2000年に名称が中小企業支援法と改められた。中小企業診断士の世界では、中小企業を「指導」するのはダメで、二人三脚で「支援」するべきだとされている。ただ、SS運営業者の窮状を考えると、言葉遊びをしている場合ではなく、廃業を強力に「指導」するべきだと考える。

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