国民の命つないだ「2万kmの鉄路」 ウクライナ侵攻3か月余、避難者がたどった「鉄道ルート」とは

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ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、3か月余りが経過した2022年6月現在も終結の見通しが立たない。国外脱出を迫られたウクライナ国民たちの“命綱”となったのが、同国全土を結ぶ鉄道の存在だった。

人口7万人の街へ、8万人超が避難

 もっとも、プシェミシルも決して大きな都市というわけではなく、国境周辺の都市の中では比較的大きいという程度のもので、人口は約7万人。

 2022年3月上旬にピークを迎えたときの避難者数は8万人を超えており、プシェミシルの人口をはるかに超える人数が国境を越えてプシェミシルを訪れたことになる。

 その大量の避難者は、もちろんプシェミシルにとどまるわけではない。

 町の人口より多い人数が押し寄せては町はパンクしてしまうわけで、速やかにポーランド各地、さらにその先の近隣諸国まで避難者を輸送しなければならない。

 ウクライナからのバトンは、今度はポーランド鉄道へと託され、ポーランド各地やその先の国々へ向けて多くの列車を運行した。

 避難民輸送のための臨時列車はもちろんのこと、普段なら長くても5~6両編成で運行される通常の列車にも客車が増結され、10両前後の長い編成となって運転された。

 ただし、ポーランド中の客車をかき集めても車両不足は否めず、チェコを筆頭とした周辺国が客車を貸し出して、避難民輸送に充当された。

 またウクライナからの避難民は、避難開始から5日間に限ってヨーロッパ各国の鉄道を無料で利用可能とする支援を開始した。

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