国民の命つないだ「2万kmの鉄路」 ウクライナ侵攻3か月余、避難者がたどった「鉄道ルート」とは
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、3か月余りが経過した2022年6月現在も終結の見通しが立たない。国外脱出を迫られたウクライナ国民たちの“命綱”となったのが、同国全土を結ぶ鉄道の存在だった。
避難民の過半数 ポーランドへと避難
当初は、圧倒的な軍事力を誇るロシアがあっという間にウクライナを制圧すると、誰もが思っていた。しかし西側からの支援を得たウクライナの予想外の反撃によって、戦争は長期化の様相を呈している。
当初の思惑通りに侵攻が進まず、4月以降になるとウクライナ軍の反撃に遭うようになった。
さすがのロシア軍にも焦りが見え始め、侵攻当初は民間人を狙うことがなかったが、最近では避難民が多く集うターミナル駅が爆撃の標的とされることもしばしば発生し、ロシアは国際社会から多くの批判を浴びている。
避難民は、国境を接する隣国へ避難をしている。
とりわけEUに加盟しているポーランドやスロバキア、ハンガリーなどへ向かう人が多く、その中でもポーランドは全避難者の過半数を超える369万人(6月8日現在、UNHCR調べ)と、他国と比較して群を抜いて避難者数が多い。
ウクライナとポーランドにはいくつかの国境ルートがあるが、その中でも東南部の年プシェミシルを通るルートは、最も多くの避難民たちが通過した国境ポイントだ。
厳密には、国境に接するのはプシェミシルから約13km離れたメディカという村だが、村の規模が小さすぎるため、ウクライナからやって来る列車も全てプシェミシルまで直通している。