なぜ「国内最大級のバス会社」は安定経営でも貪欲に“次の成長”を求めるのか? 営業利益の50%を目標! バス事業の先で何を稼ごうとしているのか
観光に頼らぬ国内最大級のバス網

神奈川中央交通(神奈川県平塚市)は2026年8月8日、個人投資家向けIR説明会を開催し、8月21日に同説明会の資料と動画を公式サイトで公開した。
同説明会は、6月5日に開催した通期(2025年4月~2026年3月)の決算説明会とは別に開いたものだ。公開資料を見ると、通期の決算説明会資料と重なる部分もあるが、通期の決算説明会から2か月が経過しているため、第一四半期(2026年4月~6月)の数値も加味されている。
資料は個人投資家を意識したためか、ビジュアル面で「見せる」要素も強く、分かりやすさを重視した内容となっている。
そして、通期の決算説明会資料と比べて、より強く打ち出されているのが「安定性」という言葉だ。冒頭の会社概要では、同社の事業内容全般について
「旅客自動車事業(主に乗合バス事業)を中心に多角的な事業ポートフォリオによる収益基盤の安定性が強み」
としている。主力である乗合バス事業の強みについても、「通勤・通学需要を中心とした景気変動の影響を受けにくい安定的なキャッシュフロー」と説明している。同社の乗合バス事業は、
・営業エリア人口:約800万人
・路線バス保有台数:1876両
・年間走行距離:5349万km
・年間輸送人員:2億500万人
で、「国内最大級の事業規模」を誇る(2026年3月31日現在)。
主な営業エリアの地図も掲載されており、神奈川県の一部を除くほぼ全域に加え、町田市や八王子市など東京都多摩地域の一部まで含む、極めて広い範囲であることが分かる。
営業エリアには、横浜市営バスや川崎市営バスなど、他の事業者と重なる地域もあるため、必ずしも同社が独占的に営業しているわけではない。ただ、ポイントは、箱根や湯河原、三浦半島など、観光需要の比重が高いと考えられる地域が含まれていないことだ。
そもそも需要の厚い首都圏にあり、国内最大級の事業規模を持つうえ、観光需要への依存度も低い。こうした点から、「通勤・通学需要を中心とした景気変動の影響を受けにくい安定的なキャッシュフロー」という説明が成り立つ。