なぜ「代官山」だけが5年連続1位を独走できるのか? タワマン街でも上位になれない理由とは! 「住み続けたい街」の共通点を探る

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約9.7万人の意識調査で代官山が5年連続首位を独走する一方、六本木一丁目や有明では「幸福度」と「定住意向」の差が顕著だ。アクセス等の移動効率(タイパ)だけでは永住につながらない。歩行環境や地域モビリティがもたらす「滞留の価値」こそが、これからの都市再開発と不動産価値の核心を握る。

街の幸福度と定住意向に潜む二面性

代官山駅(画像:写真AC)
代官山駅(画像:写真AC)

 東京で暮らす街を選ぶ際、「今の幸せ」と「将来も住み続けたいという思い」は、必ずしも一致しない。大東建託(東京都港区)が2026年9月2日に発表した「いい部屋ネット 街の幸福度&住み続けたい街ランキング2026<東京都版>」には、その差がはっきりと表れている。本調査は、2022年から2026年の5年間にわたり、累計9万7344人の東京都居住者(20歳以上)を対象に実施された過去最大級の意識調査である。「街の幸福度(駅)」と「住み続けたい街(駅)」の双方で、代官山が5年連続1位(前者の偏差値89.6・評点79.2、後者の偏差値88.9・評点79.7)となった。全駅で唯一の偏差値80台という突出した評価を集め、「街に誇りがある」「街に愛着がある」「住みここち」の全カテゴリでも首位を独占している。

 しかし、すべての街でふたつの評価が重なるわけではない。幸福度2位の六本木一丁目(東京メトロ南北線)は、住み続けたい街では13位にとどまる。3位の競艇場前(西武多摩川線)は75位、4位の有明A(有明・国際展示場・東京ビッグサイト・有明テニスの森を統合したエリア)は100位、11位の天王洲アイル(りんかい線)にいたっては215位まで大きく下がる。反対に、幸福度14位の北品川は、住み続けたい街で4位に入っている。

 こうした順位の逆転が起きる背景には、両ランキングの指標の性質があるだろう。幸福度は「現在、幸せですか」という10段階評価の平均値を100点満点に換算したもので、駅徒歩15分圏内の買い物環境や通勤アクセスの良さなど、日々の快適さが反映されやすい。一方、住み続けたい街は「ずっと住んでいたいと思うか」と将来に向けた定住意向を5段階で尋ねており、地域の歴史や治安、コミュニティーの存在、ライフステージの変化にどう対応できるかが問われる。

 ここから浮かび上がるのは、移動に対する人々の欲求にある二面性だ。現在の幸福度は、移動の手間を省き、短い時間で用事を済ませるタイムパフォーマンス、つまり「効率化」によって高まりやすい。駅周辺で仕事や買い物を素早く終えられれば満足度は上がるが、それだけで長く住みたい街になるとは限らない。

 将来も住み続けたいという定住意向を支えるのは、街を歩いて多様な要素と触れ合い、空間への愛着を育む「とどまる時間」の豊かさにある。代官山の高い評価は、移動の効率化と滞在する喜びの両方を満たしている証拠と言える。有明Aが定住意向で大きく順位を落とした事実は、効率を追い求めた都市構造が抱える課題を浮かび上がらせている。

 近年、各自治体は都市機能を集約するコンパクトシティ政策を進めているが、施設を一箇所に集めるだけでは人は根付かない。移動の負担を減らす利便性と、あえてそこを歩いて時間を過ごしたくなる空間づくりを両立させることが求められている。

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