なぜ単体赤字のローカル線なのに「大手ばりの高頻度ダイヤ」を維持できるのか? 連結売上1900億円! 「鳴り止まない車内放送」の先で何が起きているのか――静岡鉄道の収益構造とは

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連結営業収益1902億円を誇る地方私鉄の雄・静岡鉄道。だが本業の鉄道収入は18億円と全体の1%未満で単体赤字だ。自動車販売などが収益を支える同社が、高頻度運行を維持して注力するのが鉄道の広告メディア化。21億円を稼ぐ広告事業の最新戦略と、異色のビジネスモデルの全貌に迫る。

鳴り止まない車内放送の広告収入額

傘下のしずてつジャストラインが運行する静鉄バスのラッピング広告(画像:日東工業)
傘下のしずてつジャストラインが運行する静鉄バスのラッピング広告(画像:日東工業)

 同社による鉄道の広告メディア化を象徴しているのが、車内放送による広告だ。並走するJR(旧国鉄)と競合関係にあることから、わずか11kmの路線に13の中間駅を設置している。

 当然、駅間距離も短くなり、乗降案内などの車内放送も間髪を入れずに流れることになる。さらに同社では、通常の案内放送に加え、沿線の店舗や施設などの放送広告も継ぎ目なく入れていることから、

「鳴り止まない車内放送」

として話題になっている。なお、2026年9月22日時点で、静鉄アド・パートナーズの公式ウェブサイトには、同社の鉄道やバスでの各種交通広告の掲出料金が掲載されているものの、車内放送については掲載がない。人気が高く、中長期で広告枠が埋まっていると思われる。

 ただ、連結ではなく、同じく有価証券報告書に記載された同社単体の損益計算書を見ると、意外な側面が見えてくる。これによると、前述のとおり、鉄道業については2億円の赤字を計上している一方、不動産業やビジネスホテル業など、同社が直営で行っているすべての事業を合算すると、経常利益で28億円の黒字となり、同社単体でも鉄道業の赤字をカバーできている格好だ。

 さらに、付帯事業の一部に記載されている営業収益のうち、広告収入は3億円となっており、これは実際に交通広告を販売する静鉄アド・パートナーズへの卸売価格と思われる。連結における広告業の営業収益が21億円であることを考えると、同社単体の取り分は思いのほか少ないという印象だ。

 21億円の内訳は不明だが、交通広告に関しては、鉄道業よりもはるかに営業収益の大きいバス業の方が大きい可能性がある。場合によっては、テレビCMやウェブ広告、イベント企画など、交通広告以外が占める割合の方が大きい可能性もある。

 今回設置されるしずてつマルチビジョンも、卸売価格は不明だが、車内放送に続き、同社による鉄道の広告メディア化を象徴する媒体のひとつになることだろう。

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