なぜ単体赤字のローカル線なのに「大手ばりの高頻度ダイヤ」を維持できるのか? 連結売上1900億円! 「鳴り止まない車内放送」の先で何が起きているのか――静岡鉄道の収益構造とは
連結営業収益1902億円を誇る地方私鉄の雄・静岡鉄道。だが本業の鉄道収入は18億円と全体の1%未満で単体赤字だ。自動車販売などが収益を支える同社が、高頻度運行を維持して注力するのが鉄道の広告メディア化。21億円を稼ぐ広告事業の最新戦略と、異色のビジネスモデルの全貌に迫る。
赤字鉄道を生かす広告メディア化策

地方私鉄としては骨太な路線に見える同社の鉄道業の営業収益が全体の1%に満たないという点は、少々意外な気もする。しかし、有価証券報告書をさらに詳しく見ると、鉄道業は単体で
「2億円の赤字」
を計上している。地方私鉄で年間2億円の赤字となれば、上下分離や廃止を含め、存続のあり方が議論されるところだろう。
しかし、同社については、こうした議論は耳にしない。もっとも同社は、連結ベースで鉄道業の100倍以上の営業収益があり、50億円超の営業利益を計上しているため、2億円程度の赤字は吸収できてしまうともいえる。
ただ、多少の赤字があっても大手私鉄並みの高頻度運行を維持する理由は、別にある。そのヒントは、有価証券報告書のセグメント別営業収益に記載された、広告業の21億円という数字だ。
営業収益全体の1900億円超という数字から見れば決して大きくはない。しかし、それでもこの数字自体は鉄道業の営業収益を上回っている。
冒頭でも触れたとおり、鉄道会社やバス会社の多くは、自らの車両や設備を広告媒体として活用し、一定の広告収入を得てきた。もちろん、21億円という数字には、鉄道の交通広告以外にも、バスやタクシーの交通広告、同じく冒頭で触れた大型デジタルサイネージしずてつマルチビジョンなど商業施設での広告、テレビCMやウェブ広告、イベント企画なども含まれる。
そのため、鉄道の交通広告収入が鉄道の運賃収入を上回ったということを意味するものではない。とはいえ、地方私鉄としては高頻度で運行する鉄道を、可能な限り
「広告メディア化」
してきたことは容易に想像できる。