なぜ「盗難防止」の車が狙われるのか? 220万台にリスク! ディーラー装着の機器に何が起きているのか――持ち主も知らない中古車の問題、米国で発覚
全米220万台に迫る新たな脅威

日本国内の自動車盗難は、2003(平成15)年の6万4223件をピークに減少を続けてきた。2021年には5182件まで減ったものの、その後は増加に転じている。コロナ禍が明けて行動制限がなくなったこともあり、2024年は6080件、2025年には6386件と4年連続で増えた。ここで気がかりなのは、被害の4分の3ほどが車内にキーがない状態で起きていることだ。特定の高級車や人気車種が狙われやすい傾向も続いている。
手口の主流は、もはや物理的な破壊ではない。玄関先に置かれたスマートキーの微弱な電波を中継する「リレーアタック」は、よく知られるようになった。さらに、バンパーの裏側などから車内ネットワークに直接つなぐ「CANインベーダー」や、飛び交う電波を拾い、あっという間に合鍵のコードを作り出す「ゲームボーイ(キーエミュレーター)」など、デジタルの盲点を突く手法も広がっている。
こうした手口はたいてい米国からやってくるのだが、カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の研究チームが、新たな手口の存在を突き止めた。報告によれば、米国内を走る少なくとも
「220万台」
の車が、Bluetooth経由の遠隔操作によるサイバー攻撃の危機にさらされているという。離れた場所からドアを開け閉めしたり、エンジンがかからないようにしたりできる状態にあるのだ。
「車に侵入するために窓を割るかわりに、犯人はBluetooth経由で車内の機器にリモート接続し、ドアのロックを解除できる」
と、研究チームのジェリー・ユー氏はプレスリリースで語っている。ここで注意したいのは、この手口だけで直接エンジンがかかるわけではない点だ。まず無音でロックを解除して車内に乗り込む。そこから診断用の接続口(OBDなど)に市販の複製ツールをつなぎ、車載コンピューターから数分で新しいコードを抜き出してエンジンをかける。あとはそのまま乗って逃げることになる。
標的の車には、およそ4.6m(5ヤード)離れた場所からでもアクセスできる。弱点を抱えた車両の多くは、2017年から現在までに南カリフォルニアを中心に出回ったホンダやトヨタ、マツダ、フォード、ジープだという。問題は、それらが中古車として全米やカナダ、そして日本を含む海外へと流れ続けていることだ。見分ける目安として、該当する車両の多くには運転席側の窓に
・KARR
・SWDS
というステッカーが貼られている。