ネット通販は「生活道路30km制限」で大混乱に陥るのか? 最後の1kmで何が起きている――住宅地の配送を左右する「時間ロス」の正体

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9月1日、生活道路の制限速度が30km/hに引き下げられた。物流費の28%を占める「ラストマイル」への影響が懸念されるが、本質は車の減速ではない。年間1.8億時間を奪う再配達や手作業への依存など、構造的な非効率の解消こそが本丸だ。「速さ」から「届け方」の変革へ。岐路に立つ宅配現場の現在地を追う。

生活道路の減速が及ぼす宅配の課題

ネット通販の宅配イメージ(画像:写真AC)
ネット通販の宅配イメージ(画像:写真AC)

 2026年9月1日から、警察庁により一部の生活道路の法定速度が従来の60km/hから30km/hへ引き下げられた。対象は地域住民の生活を支える道路のうち、中央線や車両通行帯のない区間である。

 この変更は宅配現場にどのような影響を及ぼすのか。物流は

・拠点間を結ぶ「幹線輸送」
・最終目的地へ向かう「ラストマイル」

に大別される。幹線道路では大量輸送による規模の経済が働く一方、住宅街に入ると小口の個別配送へ切り替わり、全物流費用の最大28%程度を占めるコストの大きな工程となる。

 制限速度が下がれば配達は遅くなると考えがちだが、所要時間は車の速さだけでは決まらない。車を停め、荷物を降ろし、玄関先まで歩いて受取人に手渡すという一連の手作業を経て、ようやく1件の配達が終わるからだ。

 今回の規制対象外となる中央線や車両通行帯がある道、往復通行が分離された区間、高速道路や自動車専用道路などでは、引き続き法定速度が保たれる。道路標識による最高速度の指定があれば、それが優先される。

 宅配トラックの巡回ルート上には、規制される道と対象外の道がパッチワーク状に入り混じる。そのため、幹線道路を走る企業間物流への影響は限られる一方、住宅街を縫うように走る個人向け宅配には生産性低下の圧力がかかる。

 さらに、走行条件が混在すると到着時間の予測が難しくなり、道順を導き出すルート最適化の仕組みも複雑になる。システムの計算負荷やドライバーの判断負担が増え、運行管理の手間も膨らむため、速度が下がるだけの問題として片付けることはできない。

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