なぜ自動車の「マニュアルエアコン」は消えないのか? 手動・半自動システムが58%! オート化が進むクルマで何が起きているのか――商用車の空調に見る装備選びとは
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乗用車で主流のオートエアコンに対し、商用車では手動式が根強く残る。安さゆえではない。現場の操作性と高度な原価計算が生んだ合理的な選択だ。2025年の世界市場でも手動・半自動が58.12%を占める背景から、高機能化にとどまらない自動車づくりの「最適化」の理念を読み解く。
普及の裏で根強く残る手動式空調

近年の乗用車では、設定温度に合わせて風量や吹き出し口を自動で調整するオートエアコンがすっかり定着した。一方、ダイヤルやレバーを回して直接操作するマニュアルエアコンも、商用車や一部の軽自動車では根強く残っている。
身近な例が、トヨタの現行プロボックスだ。ハイブリッド車にはオートエアコンとプッシュ式の操作パネルを標準搭載し、エコドライブとの連携を深めている。その一方で、初期費用を抑えたい層に向けたガソリン車には、昔ながらのマニュアルエアコンを用意した。同じ車種でありながら、搭載する動力源によって空調の仕様を明確に分けている。
スズキ・エブリイのグレード展開も興味深い。実用性を重んじるベースモデルにはマニュアル式を据えながら、最上級の「JOINターボ」には、パワースライドドアなどとセットでフルオートエアコンを追加できるオプションを用意した。商用車だからといって、一律に手動式としているわけではない。仕事で使う人から普段使いする人まで、幅広い要望に応える工夫がうかがえる。
これほど自動化が進むなかで、なぜマニュアルエアコンは姿を消さないのか。「価格が安いから」という一言だけでは説明しきれない、自動車ならではの商品づくりの考え方がそこにはある。