「鉄道のない空港」静岡空港、なぜANA撤退でも注目が集まるのか? 国内2路線を失う一方で何が起きているのか――地方空港で変わり始めた「使われ方」とは
ANA撤退と鉄道欠如に苦しむ富士山静岡空港だが、2026年7月の国際線搭乗率が75.5%へ急改善し、ソウル便は79.5%を記録するなど反転の兆しを見せる。首都圏補完需要の取り込み、富裕層向けビジネスジェット戦略、さらに国の「特定利用空港」指定による国費活用をテコに、長年の赤字体質から脱却できるか。
国の支援を生かす空港機能拡充

こうしたなか、国(内閣官房、防衛省、国土交通省、海上保安庁)から静岡県および地元自治体に対し、自衛隊や海上保安庁の航空機が平時に利用する「特定利用空港」への指定が提案された。国側の説明によれば、利用は平時における年数回程度の訓練や災害対応などに限られ、
・有事対応
・米軍利用
は含まれない。国は2026年12月上旬までの回答を求めている。
地元の受け止めは分かれている。島田市の染谷絹代市長や牧之原市の杉本基久雄市長が前向きな姿勢を示す一方、吉田町の田村典彦町長は騒音への懸念から慎重な構えを見せている。
自衛隊が基地として設置・維持管理を行う共用空港(百里飛行場等)とは異なり、静岡空港はあくまで民間の地方管理空港である。しかし特定利用空港に指定されれば、民生利用を優先・前提としながらも、ビジネスジェット拠点化に必要な
・駐機場の拡張
・滑走路の耐荷重強化
・周辺アクセス道路の整備
に対して国の資金を活用することが可能になる。自治体の財政負担を大幅に抑えつつ、インフラを強力に拡充する手段になり得るのだ。
騒音対策という課題は残るものの、国の資金を活かして施設を強化し、高付加価値な需要を取り込む体制を整えられるか。一般的な交通拠点から特定機能に特化した空港への移行を果たすことが、長年の赤字体質を克服し、持続可能な地域インフラとしての位置づけを確立するための直接的な解となるだろう。