「鉄道のない空港」静岡空港、なぜANA撤退でも注目が集まるのか? 国内2路線を失う一方で何が起きているのか――地方空港で変わり始めた「使われ方」とは

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ANA撤退と鉄道欠如に苦しむ富士山静岡空港だが、2026年7月の国際線搭乗率が75.5%へ急改善し、ソウル便は79.5%を記録するなど反転の兆しを見せる。首都圏補完需要の取り込み、富裕層向けビジネスジェット戦略、さらに国の「特定利用空港」指定による国費活用をテコに、長年の赤字体質から脱却できるか。

国際線が支える利用客数の回復

搭乗率が大幅改善されている国際線(画像:富士山静岡空港)
搭乗率が大幅改善されている国際線(画像:富士山静岡空港)

 2009(平成21)年の開港以来、ANAは静岡~新千歳便と静岡~那覇便を運航してきた。地元の利用客にとって手軽なルートだったものの、運賃面ではJR静岡駅から高速バスで羽田空港へ向かい、そこから格安便を利用するほうが安く済む傾向にあった。地方空港特有の価格競争での不利に加え、近年の円安や燃料費高騰が重なり、路線の撤退が決まった。

 主要路線の撤退は痛手だが、利用客数そのものは好転している。2026年3月から7月まで4か月連続で前年同月比を上回った。2026年7月の搭乗者数は6万1223人を記録し、前年同月の5万4,913人から増加している。全体をけん引するのは

「国際線」

だ。2026年7月の国際線提供座席数は3万4096席で搭乗率は75.5%に達し、前年同月の2万9370席、搭乗率57.8%から大幅に改善した。

 2026年4月に就航したベトジェットエアのハノイ便開設も寄与したものの、最大の要因はチェジュ航空などが運航するソウル便の急伸にある。2026年7月のソウル便提供座席数は前年と同じ2万3436席だが、搭乗率は56.4%から79.5%へと跳ね上がった。

 座席数が変わらないまま搭乗率が23.1ポイント上昇した背景には、

「首都圏混雑空港が発着枠の物理的上限を迎えている事情」

がある。航空会社が需要に応じて座席供給や価格を最適化するレベニューマネジメントおよびイールドマネジメントを高度化し、静岡を首都圏の補完拠点として活用する動きが見て取れる。

 アジアからのインバウンド客の多くは貸切バスで東京や大阪を結ぶゴールデンルートを周遊する。そのため、空港直結の鉄道が存在しないアクセス構造はツアー編成上の致命的な支障にはならず、混雑する大都市の空港を避け、出入国手続きやバスの横付けがスムーズに行える利点が評価されているのだ。

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