「新人を雇うなら、まず休憩場所を教えろ」 仕事はあるのに、なぜ運送会社は受けられないのか? 案件お断り58%の衝撃――荷主対応か、走行環境か?
運送業の9割が悩むドライバー不足

運送事業者の91.2%がドライバー不足を感じている。しかも、その影響として58.2%が配送案件の断り・機会損失を挙げた。
人手が足りず仕事を受けられない状況が広がる一方、新人を育てる場面では、管理側と現場側が必要と考える情報に違いがあることも分かった。人手不足を採用人数だけで捉えると見えにくい、運送現場のもうひとつの問題とは何なのか。
機会損失の実態と新人教育の認識差

今回の調査は、ナビタイムジャパン、G.A.グループ、ハコベル、オーサムエージェント、カミナシの5社が共同で実施したものだ。2026年7月、運送事業者260回答、トラックドライバー1116回答を集めている。
ドライバーの充足状況は、常に不足しているが59.2%、繁忙期など一時的に不足が31.9%であった。事業への影響では、前述の機会損失が最多となった。これは目先の売上減だけにとどまらず、本来得られる利益を逃し、荷主からの信頼低下やサプライチェーン全体の停滞につながるリスクを含んでいる。
管理者の疲弊・業務圧迫は47.7%、既存ドライバーの長時間労働は45.1%、外部委託コストの増大は44.7%、配車業務の難易度増大は42.2%に達している。これらが示すのは、
「人手不足が採用だけの問題ではない」
ということだ。人員不足による受注能力の低下を既存人員の負担増で補えば、現場と管理側の双方に新たな負荷が生じる。
では、限られた人員をどう育てるのか――ドライバー教育全体の課題として、事業者が最も多く挙げたのは配送品質のばらつきで53.8%だった。次いでベテランのノウハウ継承が38.5%となっている。
新人教育の実務指導では、配送先の個別ルールが50.4%で最も多い。運転技術45.0%、接客マナー43.8%、荷積み・荷下ろしのコツ40.4%と続く。管理側は、新人が配送先のルールを守り、一定の品質で仕事ができるようにすることを重視している。
ところが、現場ドライバーにもっと手厚く教えてほしかった内容を尋ねると、
「駐車・休憩場所の確保」
が43.5%で最多だった。効率的なルートが36.6%、配送先の個別ルールが32.6%で続く。
管理側が対外的なリスク管理を重視するのに対し、現場側は日々の労働環境に直結する物理的な課題に目を向けている。立場によって直面する問題が異なるため、新人教育に求める内容にも明確な違いが生じているのだ。