なぜ「改札を通るだけ」で家族を見守れるのか? 18歳以上へ拡大! 駅の役割に何が起きているのか――「通過点」から広がる生活インフラとは

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保護者の84.6%が抱く登下校の不安を受け、首都圏497駅へ広がりを見せる見守りサービス「まもレール」。対象を全年齢へ広げた背景には、改札データを活用して安心を提供し、顧客生涯価値の最大化を狙う鉄道ビジネスの転換がある。移動の対価から「安心」の提供へ――変容する駅の最前線を追う。

子どもの移動を支える見守り

改札イメージ(画像:写真AC)
改札イメージ(画像:写真AC)

 子どもが小学校に入学すると、子どもだけで登下校する場面が増える。それにともない、不安を感じる保護者は少なくない。コクヨ(大阪市)が展開する見守りIoTデバイス「Hello! Family.」の調査によると、新小学1年生の保護者の84.6%が登下校の安全に不安を感じているという。

 こうした不安を背景に、同社の「はろここ」(通信料月額580円)のような専用全地球測位システム(GPS)端末を購入する家庭も多い。GPS端末は過去の移動経路をリアルタイムで、かつ広い範囲にわたって追跡できる強みを持つ。一方、小学校低学年以降にスマートフォンを持たせる割合が増えつつあるなか、端末自体のバッテリー切れや故障、置き忘れなど、管理や運用の手間がつきまとう。

 これに対して、駅の改札を使った通過データは、特定の場所と時間だけを捉える。普段使っている交通IC乗車カードを自動改札にかざすだけの簡単な動作なので、端末のバッテリーを消費することもない。改札を通ったという確かな事実だけを保護者に届けられる。

 親が本当に求めているのは、四六時中の監視ではない。移動の節目を無事に通過したという確証である。鉄道会社は、すでにある自動改札のシステムをいかすことで、大がかりな追加投資をせずに高い信頼性を持つ確認手段を実現した。子どものスマートフォンの使いすぎを気にする親の心理的負担を和らげながら、子どもの自立心も自然に促す。親の防犯ニーズと鉄道インフラが持つ機能が、うまく合致した形だ。

首都圏497駅へ広がる見守り網

「小学校への入学で不安なこと/不安だったこと」に対するアンケート結果(画像:コクヨ)
「小学校への入学で不安なこと/不安だったこと」に対するアンケート結果(画像:コクヨ)

 こうした見守り需要の高まりを受け、東日本旅客鉄道(東京都渋谷区)とセントラル警備保障(東京都新宿区)は2017年10月1日、JR東日本グループにおける子育て支援の一環として、子ども見守りサービス「まもレール」を始めた。

 対象者が記名式のSuicaやPASMO(モバイル版含む)で駅の自動改札を通過すると、あらかじめ登録した保護者のスマートフォンへ通知が届く。利用駅や通過時刻に加え、チャージ残額も電子メールまたはJR東日本アプリに即座に送られる仕組みだ。利用料金は月額550円(税込)で、通知先を1名追加する場合は月額660円(税込)となる。

 サービス開始当初は山手線や中央線などの57駅が対象で、利用者も小学生から高校生(満18歳の3月31日まで)に限られていた。だが、2018年11月に東京都交通局および東京メトロが加わったことで、2020年4月には首都圏の主要3社局を横断する495駅へと対象エリアを大きく広げた。現在は首都圏497駅で利用できる。

 生活圏を幅広く網羅する実用性を備えたことで、利用者層も順次広がった。2021年1月12日からはシニア(65歳以上)や障がいのある人(19歳以上)が加わり、2025年4月1日には、大学生や単身赴任中の社会人など18歳以上のすべての層に適用できるプランを新設している。事実上、全年齢層が利用できるサービスへと姿を変えた。

 ここには、18歳を迎えた際の契約終了をなくし、ひとりの顧客が生涯にもたらす収益を伸ばす狙いが透けて見える。進学や就職、あるいは親の高齢化といったライフステージの変化に応じて長く利用してもらい、継続的に収益を得る月額課金モデルへの移行である。

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