なぜ日本の自動運転は「実証レベル」なのに、中国では「1000台規模」の有料運行なのか? Pony.aiが採算性を高める現場で起きていること――「技術」から「運営」へ移る競争とは

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自動運転の主戦場は技術開発から運営の黒字化へ移行した。中国Pony.aiは14億ドルの手元資金とトヨタとの本格量産を強みに、主要都市で採算の損益分岐点を突破。売上高が前年比145%増と急拡大する中、3500台体制で世界展開を狙う。実用化で独走する同社の強みと世界戦略に迫る。

黒字化に挑む自動運転の先駆者

bZ4Xロボタクシー(画像:Pony.ai)
bZ4Xロボタクシー(画像:Pony.ai)

 中国の自動運転企業小馬智行(Pony.ai)は、2016年12月、米国カリフォルニア州シリコンバレーで産声を上げた。共同創業者兼最高経営責任者(CEO)の彭軍(James Peng)氏や最高技術責任者(CTO)の楼天城(Tiancheng Lou)氏ら、元百度(Baidu)のトップ技術者が立ち上げを主導している。現在は米国のほか、広州、北京、上海、深センに主要拠点を構える。ロボタクシーとロボトラックの両分野で業界有数の実績を持ち、早くから収益化を見据えてきた。

 資本市場からの評価も高い。2024年11月の米NASDAQでの新規公開株(IPO)では、時価総額が約45億ドル(約7000億円)に達した。続く2025年11月には香港証券取引所への二重上場も完了し、77億香港ドル(約1540億円)を調達している。

 直近の2026年第1四半期決算では、前年同期比145%増となる3430万ドル(約55億円)の過去最高売上高を記録した。手元資金14億ドル(約2200億円)という潤沢な現金を強みに、広州と深センのロボタクシー事業では1台あたりの採算性がすでに損益分岐点を越えたと経営陣は明言する。アナリストからは2029年までの完全黒字化を見込む声も上がっている。

 トヨタ自動車との強固な結びつきも大きな特徴だ。2019年に協業関係を築き、翌年には同社から4億ドル(約632億円)の出資を受けた。2023年8月にはトヨタ自動車(中国)、広州汽車集団(GAC)とともに、合弁会社Zhuifeng(豊駿)を総額10億元(1億4000万ドル)以上で立ち上げている。

 2026年2月16日、両社が共同開発したロボタクシーbZ4Xベース車両が、広汽トヨタのグローバルモデル工場でいよいよ生産ラインに乗った。ここにはトヨタ生産方式(TPS)が徹底して取り入れられており、数万台規模の運用に耐える品質を製造段階から確保する。2026年中には1000台以上の同車両を中国国内の商用サービスへ順次投入する構えだ。

 彼らが目指す自動運転技術は、人間による運転をAIに置き換えるだけではない。バイクや歩行者が入り乱れる一般道でも、周囲の身振りや空気を読み取り、熟練の運転手以上に滑らかな走行を実現する。見据える先は運転技術の自動化という枠組みを超え、深夜の無人洗車や充電、遠隔監視による大量の車両管理まで含む、極めて効率の高い新たな交通システムを作り上げることにある。

 ロボタクシーはすでに巨大な運営網の一部として組み込まれており、競争の軸は自動運転技術そのものから、運営モデルの黒字化へと移り始めているのだ。

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