なぜ日本の製造・物流は「フィジカルAI」で足踏みを続けるのか? 本番稼働は7.5%にとどまる現実! 「他社待ち」が生む負の循環とは
2040年に現場人材が260万人不足するなか、期待が集まるフィジカルAI。だが国内企業の本番稼働率はわずか7.5%にとどまり、多くが検証止まりのPoCの罠に陥っている。人手不足を乗り越え、EBIT押し上げなどの成長価値を引き出すには何が必要か。足踏みする日本企業が本番導入へと踏み切る条件を紐解く。
物流・製造の未来拓く現場AI導入

物流や製造の現場で、機械が自ら周囲の状況を認識し、判断して動くフィジカルAIへの期待が高まっている。搬送や検品、ピッキング、設備点検などへの活用が進めば、稼働時間の拡大や供給能力の向上につながっていく。
2040年、日本の現場人材は需要(3283万人)に対して260万人不足すると予測されている。いわゆる3K職種を維持し、移民に頼らない社会基盤を築くうえで、技術の活用は避けて通れない。長期的にはヒューマノイド市場が自動車産業に匹敵する最大4兆ドル規模へ成長し、時給2ドルの破壊力をもたらすともいわれる。国内でも官民合わせて10.5兆円規模の投資方針が示された。
ところが、製造・物流・インフラサービス企業を対象とした調査を見ると、本番環境で稼働させている企業は
「7.5%」
にとどまる。71.5%は未着手だった。5年後の人員確保にリスクを感じる企業は74.5%、熟練人材の退職を懸念する声は72.5%に達している。強い危機感があるにもかかわらず、実用化への歩みは重い。
この差は、技術が未成熟だからという理由だけでは説明しきれない。投資対効果(ROI)の見極めや技術選定、現場データの扱い、既存システムとの接続など、いくつものハードルが企業の判断を慎重にさせている。