なぜ「街のガソリンスタンド」は消え続けるのか? 店舗数が2万7000か所まで減少! 人手不足に揺れる地方――残る給油所に広がる新たな動きとは

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全国のガソリンスタンドは2.7万か所へと激減し、現場の有効求人倍率は6.12倍に達する。需要減と深刻な人手不足が地方の生活インフラを脅かすなか、2026年の法改正で解禁された「AI自動監視」が起死回生の一手として注目を集める。規制緩和と先端技術が切り拓く、地域モビリティ維持と給油所の未来像を追う。

伸長続けるセルフ式ガソリンスタンド

廃業したガソリンスタンドのイメージ(画像:写真AC)
廃業したガソリンスタンドのイメージ(画像:写真AC)

 ガソリンスタンド(SS)の販売形態は、京都大学の桐野裕之氏の論文「日本のセルフSSの普及率の背景に関する一考察-消費者ニーズとSS運営企業の戦略に焦点を絞って-」にもあるように、セルフサービス式とフルサービス式に大別される。

 国内でセルフ式ガソリンスタンド(セルフ式SS)が規制緩和によって解禁されたのは1998(平成10)年だ。以降、普及とともに販売量も伸び、2017年時点では国内で流通するガソリンの約64%がセルフ式SSで販売されるまでになった。消費者アンケートでも、66.3%が「基本的にセルフ式SSの利用が多い」と回答している。

 セルフ式SSが広がった背景には、安さを求める消費者の声だけでなく、ガソリン需要の減少もある。2004年から2005年をピークに国内のガソリン需要は減り続け、激しい価格競争が起きた。販売による利益が大きく減るなか、運営側は人件費という固定費を削らなければ経営を続けにくい状況に置かれていた。

 しかし、セルフ化による経営の効率化は全国で同じように進んだわけではない。セルフ式SSは平均してフルサービス式の約3倍の敷地面積を要する。交通量が多く、広い土地を確保できる都市部や幹線道路沿いであれば、必要な設備への投資を短期間で回収できる。

 これに対し、日常の交通量が少ない地方の過疎地や敷地の狭い店舗では、投資の回収が見込みにくい。結果としてセルフ化に踏み切れず、人件費の負担に耐えられなくなって廃業を選ぶ店舗が相次いだ。セルフSSの増加は、

・都市部の効率化
・地方の店舗網の衰退

というふたつの動きを生んでいるのだ。

普及の頭打ちとAI技術による効率化

セルフ式SSとセルフ化率の推移(画像:日本エネルギー経済研究所石油情報センター)
セルフ式SSとセルフ化率の推移(画像:日本エネルギー経済研究所石油情報センター)

 2025年8月に日本エネルギー経済研究所石油情報センターが公表した「セルフSS出店状況調査結果」によれば、同年3月末時点の全国のセルフ式SS数は1万915か所、セルフ化率は40.4%である。

 近年、このセルフ化率の伸びは頭打ちとなっている。

・フルサービス式との価格差が縮まり、消費者が感じる割安感が薄れた
・採算が取れる立地でのセルフ化が一巡した

ことが大きい。自分で給油することに抵抗を感じる消費者が一定数残っていることも背景にある。

 店舗数や普及率の伸びが落ち着くなか、業界の成長の軸は、新店開拓や店舗改造による規模の拡大から、デジタル技術を使った運用の効率化へと移りつつある。とりわけ現場の採用難は深刻だ。ガソリンスタンド店員等の有効求人倍率は、全産業平均の1.31倍を大きく上回る6.12倍に達している。従来の体制のまま店舗を残すことは、すでにかなり難しくなっている。

 安全を守りながら人手不足を補うため、運用を支える新しい技術の導入が始まっている。そのひとつが、ELEMENTS(東京都中央区)とコスモ石油マーケティング(同)が共同開発したセルフ式SS向けAI自動給油許可監視システム「AiQ PERMISSION(アイキューパーミッション)」である。

 同社は2026年5月、全国のセルフ式SSへの提供開始を発表した。このシステムは計量器メーカー大手のタツノ(港区)と連動部分を共同開発したもので、特許(特許第7584211号、特許第7648314号)も取得している。

 これまで従業員が担ってきた給油監視業務の一部を、AIで支援する仕組みだ。事故防止や人手不足の緩和に加え、従業員の役割を監視作業から、粗利の大きな車検やカーケアの提案といった収益につながる業務へ移す効果も期待できる。現場の作業負担を減らしながら店舗の収益力を保つ手段として、地方の供給網を守るうえでも重要な取り組みといえるだろう。

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