なぜホンダは「クルマの骨格」をインド企業に任せるのか? 開発費半減を目指す! 完成車メーカーに広がる「分業化」の波とは
ホンダが車台開発の一部をインドのタタテクノロジーズへ初委託し、長年の「自前主義」を脱した。開発費や期間の「半減」を掲げ、今後3年でソフト領域へ1.0兆円を投じる同社。2029年3月期に営業利益1.4兆円超を目指す四輪立て直しの裏にある、外部連携とシステム統合に賭ける新時代の生存戦略を追う。
ホンダが挑む自前主義の脱却と革新

8月、日本経済新聞やザ・ジャパンタイムズなどが、ホンダが新型車両のプラットフォーム(車台)開発の一部を、インドの大手財閥タタ・グループ傘下のエンジニアリング企業、タタテクノロジーズに委託すると報じた。
車両の基本骨格からなる新規開発をインド企業に丸ごと委ねるのは、同社にとって初の試みとなる。新興メーカーの台頭にともなう価格競争や開発期間の短縮要求を受け、コストを削りつつスピードを引き上げるのが狙いだ。
この動きを、高級車ブランドのジャガーランドローバー(JLR)を擁するタタ・グループ全体との包括的アライアンスと捉えるのは早計だろう。
むしろ目を向けるべきは、自動車産業がソフトウェア定義車両(SDV)へと急速に移り変わり、競争の主戦場がメカニカルなハードウェアからデジタル体験へ移るなかで、ホンダが長年の自前主義から抜け出した点にある。
走行性能を左右する車台は各メーカーが極秘に開発し、社内に囲い込んできた“聖域”だった。そのハードウェア基盤をあっさりと外部へ委ねる姿勢は、歴史的な転換を物語っている。
あらゆる要素技術を自社で抱え込まず、得意な領域に経営資源を集中させる枠組みへの移行は、完成車メーカーの生存戦略として世界に広がっている。本稿では今回の委託の背景を読み解き、同社が進める体制の進化と将来像を探っていく。