なぜ大地震の避難時に「キーを残す」が必要なのか? 65%が「盗難が心配」と回答! 愛車を置いて逃げるとき、何をすべきなのか――緊急車両の通行を守る「放置車両」のルールとは

キーワード :
,
被害額1155億円に上る熊本地震が示したように、災害時の交通寸断は供給網を直撃する。避難時に車内にキーを残すルールは道路の救援機能を守る要だが、盗難リスクへの懸念から適切対応は約40%にとどまる。会員数539万人を超えるカーシェアの拡大やデジタル化の波のなか、私有財産と公共性を両立する防災革新に迫る。

地震多発国日本とモビリティの役割

自動車のカギ(画像:写真AC)
自動車のカギ(画像:写真AC)

 日本周辺では太平洋プレートやフィリピン海プレートなどが複雑に沈み込んでおり、世界でも有数の地震が多い地域となっている。

 2026年7月28日16時27分、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1(気象庁マグニチュードMj7.1、モーメントマグニチュードMw6.8、震源の深さ16km)の令和8年熊本地震が発生した。熊本県宇城市豊野町や八代郡氷川町島地で最大震度7を観測し、有明・八代海には津波注意報が出された。土木や農業の被害総額は1155億円に上る。

 この地震は交通網にも大きな被害をもたらした。主要幹線である九州自動車道が路面損壊で通行止めとなり、北部九州と南部九州を結ぶ道が一時途絶えた。その結果、広域迂回路となった東九州自動車道に交通が集中し、通常の2倍、大型車に限れば5倍もの交通量となった。

 物流の遅れや商品不足が起きたことは記憶に新しい。道路が途絶えると、完成車や部品の輸送を含む供給網にも影響が及ぶため、通行を保ち、早く復旧させることは経済活動を支えるうえで欠かせない。

 大地震がいつ、どこで起きるかを正確に予測するのは難しい。だからこそ、運転中に被災する事態を日頃から想定しておく必要がある。こうした背景から、近年のモビリティは移動手段にとどまらず、非常時の被害を抑え、社会を支える役割も担うようになっている。

 給電車両による電力支援のほか、テスラやテラチャージによる電気自動車(EV)充電器の無償開放、アンカー・ジャパンによる防災用電力供給支援など、車両や関連する設備の役割は広がっているのだ。

全てのコメントを見る