なぜトヨタの「シートを外せるクルマ」は消えたのか? 1997年から約30年! スパシオから「シエンタ JUNO」へ受け継がれた車内活用とは

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1997年の初代スパシオが掲げた脱着式シートの発想は、法規制や安全技術の壁を越え、いかに進化したのか。キャンピングカー保有数が17.3万台と過去最高を更新するなか、ソフト制御やシエンタ JUNOの積載モジュール化が切り拓く空間革命に迫る。自動車の滞在価値をめぐる攻防と未来をひも解く。

初代スパシオが拓く滞在価値の原点

初代カローラ スパシオ(画像:トヨタ自動車)
初代カローラ スパシオ(画像:トヨタ自動車)

 1990年代後半、日本の自動車産業は、車を移動の道具から「生活の拠点」へと見直し始めていた。その先駆けとして1997(平成9)年1月に登場したのが、「初代カローラ スパシオ」である。トヨタが量産車であるカローラをもとに、特定の暮らし方まで踏み込んで考えた意欲的な車だった。

 スパシオの大きな特徴は、カローラセダンと比べて全長を150mm短くして取り回しを良くする一方、全高を235mm高くしたことにある。限られた大きさの中で室内の広さを最大限に生かす工夫であり、コンパクトな外観からは想像しにくい多彩なシートアレンジを実現した。

 具体的には、3列シートで多人数乗車に対応した2-2-2名の6人乗り、後席の足元にゆとりを持たせ、後の高級ミニバンにも通じる価値を示した2-0-2人の4人乗り(スモールボックスにおけるラグジュアリー)、そして荷物の積み込みと室内の広さを両立させた2-3人の5人乗りが用意された。

 助手席を180度回転させ、2列目の背もたれを前に倒してテーブルにすれば、3列目と向かい合ってくつろぐことができる。これは走行中だけでなく、車を停めた後にも人が過ごせる場所として使うことに目を向けた発想だ。なかでも目を引いたのが、

「2列目シートを取り外せる仕組み」

である。外したシートに専用の脚を取り付ければ、屋外のベンチとして使うことができる。車を移動の手段だけでなく、レジャーの拠点として使えるようにした特徴的な機能だった。この仕組み自体は一代限りで姿を消したものの、車内を用途に合わせて柔軟に変えられるという考え方は、その後のクルマづくりにも受け継がれていく。

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