なぜ「物流施設」が帰宅困難者の受け皿になるのか? 千葉豪雨で1万台超の放置車両! 受け入れ&物流機能をどう両立するのか――防災拠点に求められる運用条件

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首都圏で推計515万人を生んだ帰宅困難者問題。その新たな受け皿として、民間物流施設を一時滞在施設へ指定する動きが加速している。モノの通過点からESG時代の社会基盤へと進化を遂げる中、問われるのはインフラ途絶時の実効性だ。避難者の保護とサプライチェーン維持を両立させる稼働条件に迫る。

人と物の混在を防ぐ厳格な動線分離

豪雨のイメージ(画像:写真AC)
豪雨のイメージ(画像:写真AC)

 物流施設が外部の人を受け入れる際、最大の難しさとなるのが、普段の業務や緊急時の対応との両立である。大型トラックが絶え間なく出入りする現場に、突然、不特定多数の帰宅困難者が流れ込めば、人の通り道の確保や人員の配置は一気に複雑になる。

 千葉豪雨のケースを振り返ると、幹線道路である国道16号や296号、464号が各地で冠水。首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の松尾横芝インターチェンジ(IC)~茂原長南IC間や、千葉東金道路の千葉東ジャンクション(JCT)~東金JCT間などでは、土砂崩れによる通行止めが相次いだ。千葉市内だけで2000台以上、県全体では1万台を超える車両が路上に放置され、停電で排水ポンプが止まったアンダーパスでは、痛ましい水没事故も起きている。

 これら数千台の放置車両は、救急活動だけでなく、物資輸送の道を物理的にふさぐ障害となった。東日本大震災では、特定の生産拠点が被災したことで産業全体の停止につながる事態が起きた。一方、今回の局地豪雨で浮かび上がったのは別の問題である。道路網やライフラインなど、互いに深く関わる都市の基盤が複合的に機能を失うことで、サプライチェーンが容易に途切れてしまう脆さだ。

 こうした広域交通網の機能が失われた状況では、物流施設の現場も厳しい対応を迫られる。滞留している自社の通常貨物を管理しながら、行政の要請に応じ、緊急支援物資の中継や集配拠点としても急きょ動かなければならない。つまり、避難者という人を守る役割と、支援物資というモノを扱う機能を同時に担うことになる。

 現場の庫内には、厳しい管理が求められる保管区画や、大型フォークリフトが行き交う荷さばきスペースがある。安全を確保するには、人が滞在する場所と荷物が動く道を物理的に分け、厳しい区域分けと立ち入り制限を設ける必要がある。

 ここで問われるのは、人かモノかという二者択一にならないための工夫だ。発災直後、従業員の安否確認や荷崩れの点検に追われる中で、限られた人員をどう振り分けるのか。誰が自治体との連絡窓口を担い、誰が避難者を誘導するのか。あらかじめ役割と権限、対応体制を明確にしておく必要がある。さらに、善意で受け入れたことで施設の破損や費用が生じた場合にどう扱うのかなど、自治体と協定の細かな内容を詰めておくといった実務上の調整も欠かせない。

 重要なのは、両立できるかどうかを議論することではない。それぞれの施設が持つ条件に合わせ、人を受け入れる機能と物流機能を無理なく両立させる運用マニュアルを、いかに整えておくかである。

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