なぜ「クレカ未所有者」は高速道路から締め出されるのか? ETC利用率96%! 現金レーン廃止の陰で注目される「審査なしETC」の正体
全線専用化で再評価される公的役割

そもそも認知が広がりにくい背景には、民間企業による発行規模の圧倒的な大きさがある。2025年3月末時点でのETCカード鍵の格納累計は約2億9783万件に達したが、そのおよそ95%(約2億8272万件)を民間クレジットカード会社の発行分が占めた。
カード各社がポイント還元などをフックに強力な販促を展開するかたわら、高速道路会社による案内が公式ウェブサイト等の控えめな発信にとどまっていたことも一因といえる。
しかし、道路インフラを取り巻く環境は大きな岐路に立たされている。国土交通省と高速道路6社が描くロードマップに沿って、都市部は2025年度頃、地方部は2030年度頃をめどに、全料金所のETC専用化が急ピッチで進行中だ。
先行する首都高では2026年4月末時点で専用入口が90か所に達し、同年度末には134か所まで拡大する。非ETC車の誤進入に対応するサポートレーンの運用といった過渡的な措置は用意されているが、現金決済という迂回路が徐々に塞がれつつあるのは間違いない。
全線専用化が現実味を帯びるにつれ、ETCの位置づけは「あれば快適な選択肢」から
「道路網へアクセスするための必須条件」
へと変貌を遂げた。本来、公共インフラは誰もがアクセス可能であること(ユニバーサルデザイン)が原則だ。国民の移動の自由を担保する交通権の観点からも、「金融包摂」を体現する代替手段の存在が極めて重要になる。
最低デポジット額の引き下げにより、若年層や非正規雇用者、個人事業主、さらにはあえてカードを持たないライフスタイルを選ぶ層まで、同カードを導入しやすい環境は整ってきた。現金レーンが過去のものとなる本格的な専用化時代を目前に控え、ETCパーソナルカードは人々の移動と生活を根底で支える公的インフラとして、本来の役割をようやく発揮するフェーズに入ったといえるだろう。