全国SA・PAランキング「1位」――1968年供用開始された神奈川「サービスエリア」の正体
人気施設に共通する「滞在」という価値

海老名、足柄、談合坂、海ほたる、浜名湖、蓮田――。高速道路を代表する人気のサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)を比べると、共通しているのはおいしいものがある、景色がいいといった観光的な魅力だけではない。
宿泊、温浴、買い物から、スマートIC、電気自動車(EV)急速充電、水素ステーション、一般道からのアクセス、防災拠点、無人店舗まで。施設によって中身は異なるものの、高速道路を走る人の休息地という従来の枠を超え、少しずつその役割を外側へと広げている。
変化を読み解く手がかりとなるのが、令和トラベル(旅行アプリNEWT運営)が2026年8月25日に発表した全国SA・PA人気ランキングTOP30だ。施設やエリアへの注目度、口コミ、メディア評価などを掛け合わせた独自の指標で評価が行われている。
1位は海老名SA、2位は足柄SA、3位は談合坂SA。続く4位に海ほたるPA、5位に浜名湖SA、6位に蓮田SAが名を連ねた。
ここで目を向けたいのは、順位そのものではない。上位陣の顔ぶれを見渡すと、SA・PAの持つ価値が道路利用者へのサービスという言葉ではすでに説明しきれなくなっている事実が浮かび上がる。
施設の役割を考える際、まず分かりやすい違いがある。通過する場所か、それとも滞在する場所か。
本来、日本の高速道路におけるSAは概ね50kmおきに置かれる大規模な休憩施設であり、PAはその補完として必要最小限の設備を持つ場所と位置づけられてきた。1960年代の車社会の幕開けにおいては、いずれも通過点における一時的な休息所としての意味合いが強かった。
だが、ランキング上位の施設はこうした基本線を超える歴史と機能を持つ。1位の海老名SAは、神奈川県内で唯一のSAであり、東京方面からは最初、名古屋方面からは最後のSAとなる。名神高速の実績からSAは約50km毎が理想とされたが、厚木以東の過密な交通量を補うべく、あえて目安より手前の起点約30km地点(東京ICから31.3km)に設けられた。
これは供用開始日である1968(昭和43)年4月25日当時、基本往復4車線のなかで厚木以東のみ6車線だったことが考慮されたためだ。この判断が功を奏し、今や1日平均およそ6万人が行き交う巨大施設へと育った。3位の談合坂SAは24時間営業の店舗群で深夜の移動を支え、5位の浜名湖SAは上下線の利用者が同じ場所を共有できる集約型として効率よい滞在環境を生み出している。6位の蓮田SAに至っては、慢性的な混雑を和らげるため2019年に上り線施設を2.5km移転・拡張し、東日本最大級の規模へと姿を変えた。
象徴的な変化を見せるのが足柄SAだ。1977年に高速道路で初めて入浴・宿泊施設を導入して以降、飲食などの滞在機能を着実に広げてきた。壇之浦PAにも宿泊施設が備わり、長距離移動の道中で一晩を過ごすという使い方が定着しつつある。
2000年代の民営化を経てNEXCO各社のグループ企業による運営体制へ移ると、大手飲食チェーンの誘致や24時間営業化が進み、利用者の声に応える滞在型への移行はさらに弾みがついた。施設ごとの特色も生まれ、海老名SAで展開するぽるとがるの海老名メロンパンは48時間で2万7503個を販売しギネス世界記録に認定されるなど、独自のブランドを打ち立てる役割も担う。
海ほたるPAの顔つきはまた少し異なる。東京湾アクアラインの人工島という立地そのものが観光資源として機能し、年間700万人以上が訪れる海上の名所として人を引き寄せる。
同じ施設であっても、休むために寄る行動とそこへ行くこと自体を楽しむ目的が重なり合っていることが分かる。
これは迎え入れる側にとっても意味が違う。休憩が目的ならば、必要な機能をいかに手早く提供するかが問われる。一方、滞在が目的ならば、飲食から買い物、景観、温浴、宿泊に至るまで、複数の体験を組み合わせる余地が生まれる。