貨物専用線に「旅客列車」が乗り入れる? 8期ぶり黒字「茨城三セク鉄道」で何が起きたのか――かつて“空気を運んだ”路線の現在
国内で数少ない旅客・貨物の二刀流を貫く鹿島臨海鉄道など私鉄4社が連携に乗り出した。中でも鹿島臨海鉄道は、貨物発足から旅客7:貨物4の収益構造を確立。2026年3月期に11億円超の営業収益で8期ぶり黒字を達成した背景には、貨物資産の流用企画と堅実な資産運用の強みがある。
貨物線の強みを活かした独自の企画

冒頭で触れた4社によるスタンプラリーは、旅客・貨物輸送の両方を行う鉄道事業者という、いわばマニア向けの特徴を生かしたものだが、同社単独でも、この特徴を生かした営業活動を積極的に行っている。
その代表例が、貨物専用線の鹿島臨港線で特別貸切列車を運行したり、通常は一般公開していない貨物専用駅・神栖駅を特別公開したりする旅行商品の販売だ。これらを扱う旅行会社では、こうした商品は限られた機会でしか体験できないことから、人気商品のひとつとなっている。
また、沿線のプロサッカーチーム・鹿島アントラーズと組み、貨物専用駅・神栖駅を活用したパーク&ライド特別列車の運行も行っている。これは、試合開催日に周辺道路で起きる渋滞を減らし、自家用車から鉄道への乗り換えを促すことが目的だ。同時に、ホームのない貨物駅から列車に乗るという普段とは違う体験を、いわゆるマニア層だけでなく、一般のサッカーファンにも楽しんでもらう狙いがあった。
ここで思い出されるのが、1978(昭和53)年から1983年までのわずか5年間、成田空港問題への見返りとして、1日3往復のみ、本来は貨物専用線だった鹿島臨港線で行っていた旅客営業だ。当時は連日空気を運ぶ状態だったが、ごく少ない乗客の大半はマニア層だったという。
貨物専用線を生かした旅客輸送という強みは、かつての見返りの時期に培われたものなのかもしれない。