貨物専用線に「旅客列車」が乗り入れる? 8期ぶり黒字「茨城三セク鉄道」で何が起きたのか――かつて“空気を運んだ”路線の現在

キーワード :
, ,
国内で数少ない旅客・貨物の二刀流を貫く鹿島臨海鉄道など私鉄4社が連携に乗り出した。中でも鹿島臨海鉄道は、貨物発足から旅客7:貨物4の収益構造を確立。2026年3月期に11億円超の営業収益で8期ぶり黒字を達成した背景には、貨物資産の流用企画と堅実な資産運用の強みがある。

旅客と貨物の双方を担う希少な4社

鹿島臨海鉄道の旅客列車(画像:鹿島臨海鉄道)
鹿島臨海鉄道の旅客列車(画像:鹿島臨海鉄道)

 秩父鉄道(埼玉県熊谷市)、鹿島臨海鉄道(茨城県大洗町)、三岐鉄道(三重県四日市)、水島臨海鉄道(岡山県倉敷市)の4社は2026年7月1日、「貨物・旅客4社連絡スタンプラリー」を始めた。4社には、国内では数少ない、旅客輸送と貨物輸送の両方を手がける鉄道事業者という共通点がある。

 同キャンペーンは、一度に大量の貨物を運ぶことができ、CO2削減にもつながる鉄道貨物輸送が、環境への負荷を減らし、持続可能な開発目標(SDGs)にも貢献する輸送手段であることを広く知ってもらうとともに、4社の路線への誘客を図る狙いだ。キャンペーンは2027年1月31日まで開催し、貨物列車運転台添乗券といったマニアックな景品も用意している。

 複数の鉄道事業者がこうしたスタンプラリーを行う例は珍しくない。一方で、地理的にも遠く離れた事業者が、旅客輸送・貨物輸送の両方を行う鉄道事業者という共通点を生かして連携する事例は珍しいといえる。

 4社のうち、秩父鉄道と三岐鉄道は、いずれも大手セメント会社の太平洋セメントを親会社に持つ私鉄で、いわば兄弟企業だ。

 水島臨海鉄道は1943(昭和18)年、旧三菱重工水島航空機製作所によって開業した。戦後には倉敷市交通局が運営する公営鉄道となり、1970年に国鉄(現JR貨物)・岡山県・倉敷市などが出資する鉄道事業者となっている。

 鹿島臨海鉄道は1969年、国鉄(現JR貨物)、茨城県、鹿島臨海工業地帯に進出した企業の共同出資によって設立され、1970年から鹿島臨港線の営業を始めた。

 その後、建設中だった国鉄(現JR東日本)鹿島線の水戸~北鹿島(現鹿島サッカースタジアム)間を国鉄(現JR東日本)に代わって運営することとなり、1985年3月から大洗鹿島線として旅客営業を始めている。

 後者2社はいわゆる第三セクターだが、赤字ローカル線や新幹線の並行在来線を地元自治体が引き受ける形で発足した第三セクターとは、大きく事情が異なっている。

全てのコメントを見る