崩れ始めた中国依存――なぜEV部品をめぐる「日中の攻防」が激化するのか? 輸入量8割減で揺らぐ“安定調達”
中国の輸出管理強化により、日本のレアアース輸入量は規制前の2割へ激減。加工工程の9割を同国に握られた自動車産業は、供給遮断ではなく「納期の不確実性」という見えないリスクに揺さぶられている。在庫による防戦が限界を迎える中、企業は脱レアアース技術の確立と供給網の刷新という根本的な構造変化に挑む。
在庫で稼ぐ時間と代替生産の時間軸
日本企業への直接的打撃が直ちに深刻化しない背景には、過去の苦い経験に基づく在庫戦略がある。
2010年の日中関係悪化(尖閣諸島中国漁船衝突事件)にともなうレアアース供給問題の際、日本の磁石メーカーや自動車部品メーカーは調達不全の脅威を直接体験した。それ以来、国内企業は数か月分の調達在庫を常時持つ運用を定着させており、これが今回の規制強化初期に対しても短期的な不確定性を吸収するクッションとして機能している。
ただし、在庫でしのぐ対応はあくまで一時的な時間を稼ぐ手段に過ぎず、長期化にはおのずと限界がある。守ってきた在庫が底を突いた際、国内での代替生産や多角化へ即座に切り替えることも容易ではない。ベトナムや米国など、中国以外の代替国からの調達ルート開拓は思うように進んでおらず、調達の遅れは長期化の様相を呈している。
また、国内大手化学メーカーや材料加工メーカーの生産設備は現状でもフル稼働に近い状態にあり、急増する代替需要を賄うための余力はきわめて乏しい。設備増設には莫大な投資と相応の準備期間を要する。数か月という短期的な在庫対応と、数年を要する中長期的な供給能力確立との間には、明確な時間軸のギャップが横たわっている。