「これでいいんだよ!」新幹線のきっぷ、なんと8割が“当日購入”だった――単純明快な仕組みが変えるJRの決済戦略とは
デジタル移行を補う対面支援の強化

JR東日本は、オンライン予約の「JRE GO」と、駅での即時処理を担う「新幹線eチケット購入機」を軸に、チケットレス化の体制を整えつつある。ただ、デジタル機器の扱いに慣れた人を主な対象とする仕組みだけでは、多様な客層を抱える鉄道インフラとしての機能は保ちにくい。画面操作やデジタル手続きへの移行が難しい層への配慮は、交通機関が果たすべき公共性と利便性を両立させるうえでどうしても必要になる。
2026年7月に実証実験が行われた「みどりの窓口AI対応サービス(仮称)」は、こうした対面の需要を支える施策だ。立川駅(7月20日~22日)と大宮駅(7月23日~25日)で実施されたテストでは、窓口を訪れた人の利用区間や日時、人数といった要望を音声機器を通じてAIが整理し、その内容をもとにスタッフが実際の発券作業を行う仕組みが試された。今は事前処理の支援にとどまるが、将来的には要望の確認から発券までの一体的な対応を目指しており、限られた人員で適切な案内体制を保つ効果が見込まれる。
この対話支援の仕組みは、新幹線eチケット専用ではないものの、デジタル技術への移行を少しずつ進めるうえで欠かせない役割を果たす。オンライン予約と自動機器という二つの軸に、AIによる対面支援を加えるこの形は、あらゆる客をスムーズな移動へ導く土台として機能する。
2026年は、JR東日本が複数の経路を組み合わせ、新幹線eチケットの普及へ向けた具体的な歩みを進めた年として記憶されるだろう。さらに2027年春に控える近距離乗車券のQRコード化(磁気乗車券の廃止)や、「Suica Renaissance」構想が視野に入れる行政マイナンバーとの連携を考えれば、いま起きていることは切符販売の変革にとどまらない。
移動と決済の境目をなくすことを起点とし、Suicaを国家規模のデジタルインフラへと引き上げる長期的な事業構造の転換が、いま本格的に動き出しているのだ。