「異例の上下分離」から10年…京都のローカル線が達成した過去最高11.7億円!なぜ収入増でも黒字化に届かない?
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通勤通学1割未満と観光頼みの収支

一方、WILLER TRAINSの収支はどうなっているのだろうか。
WILLER TRAINSはWILLERの100%子会社で、非上場のため、損益計算書などの決算資料は公開していない。ただ、国土交通省の鉄道統計年報には、鉄道事業者各社の損益計算が記載されている。
ただし、こちらはデータをまとめる作業があるため、直近の数字ではない。最新のデータは令和5年度(2023年4月~2024年3月)のものだ。
これによると、WILLER TRAINSの鉄道事業による営業収益は10億6866万円、営業費は14億882万円で、差し引き3億4016万円の赤字となっている。
営業収益10億6866万円の内訳を見ると、通勤定期が3056万円、通学定期が7240万円、定期外が6億3251万円、運輸雑収が3億3318万円となっている。通勤・通学需要は1割に満たない。
定期外の収入すべてが観光需要とは言い切れないが、沿線人口や沿線の観光資源を考えると、かなりの部分を観光需要から得ていると見られる。
また、運輸雑収は、旅客運賃以外の営業収益を指す。広告料、土地貸付料、車内販売、観光列車の食事やグッズなどによる追加収益が含まれており、こちらも観光需要による収入が大きいと見られる。
純粋な私鉄であれば、大手・中小を問わず、不動産や流通、観光事業など、本業以外で大きな収益を上げている例は珍しくない。一方、自治体が株主となっている第三セクター鉄道(間接的な意味でのWILLER TRAINSを含む)では、本業以外の事業を大きく広げることは難しいのが現状だ。
そのため、本業に近い運輸雑収で全体の収益の3割を稼いでいる状況は、「民間のノウハウを活用して自立的に収支バランスをとる」という点で、WILLER TRAINSの「営業努力」と見ることもできる。
なお、前述の鉄道統計年報には数字が載っていないが、2025年11月に朝日新聞などが報じたところによると、WILLER TRAINSの昨年度(2024年4月~2025年3月)の営業収入は、開業後最高となる11億7000万円を記録した。
ただ、黒字に転じたとの報道はない。