「日本車の牙城」崩壊寸前? 三菱自、豪州でEVを仕掛ける! 中国勢の猛追にどう挑むのか――5年ぶりの本格EV、協業で放つ巻き返しの一手
豪州の新車輸入台数で中国車が3.6万台に達し、28年続いた日本車の首位が陥落した。日系各社が苦戦を強いられるなか、三菱自動車は自前主義を脱し、台湾・鴻海との水平分業で開発した新型EVをオセアニアへ投入する。自社完結から異業種連携へ。過酷な構造変化に挑む同社の戦略転換と、自動車産業の未来を追う。
異業種連携で変革する車づくりの未来

自前での開発にこだわらず、外部の力をうまく取り入れる。今回の新型EVの投入は、そうした新しい事業の進め方を形にしたものだ。
狙いは、ただオセアニアで車を売ることだけではない。現地で得た販売の反応や市場のデータを、自社の次なる車づくりへどう生かしていくかが問われている。
中国系メーカーとの販売競争が激しさを増すなか、三菱がおよそ50年にわたってオセアニアで育ててきた店舗網や保守サービスの存在は大きい。外から調達した車体であっても、販売網への信頼が加わることで確かな商品力に変わる。
優れたデザインの車体に独自の「走りの味付け」を加え、自社ブランドの価値を高めることに力を注ぐ。この手法は、自動車メーカーの役割が変わりつつあることを示している。一つの企業がすべてを造り上げる時代から、多様な技術を組み合わせ、それぞれの地域の求めに合わせて車を届ける立場へと移り変わっているのだ。
5年、あるいは10年先の自動車業界を考えたとき、普及の速度が異なる世界各地の市場に対し、いかに柔軟な協力体制を敷けるかが競争を左右する。
他社と手を結んで商品を出し続け、着実に実績を積む。その歩みそのものが、日本を含めた次の市場へ打って出るための足場となる。業界全体の大きな変化を映し出す事例として、ASX VR-eが現地でどのような軌跡を描くのか、その動向を注視したい。