「日本車の牙城」崩壊寸前? 三菱自、豪州でEVを仕掛ける! 中国勢の猛追にどう挑むのか――5年ぶりの本格EV、協業で放つ巻き返しの一手

キーワード :
, ,
豪州の新車輸入台数で中国車が3.6万台に達し、28年続いた日本車の首位が陥落した。日系各社が苦戦を強いられるなか、三菱自動車は自前主義を脱し、台湾・鴻海との水平分業で開発した新型EVをオセアニアへ投入する。自社完結から異業種連携へ。過酷な構造変化に挑む同社の戦略転換と、自動車産業の未来を追う。

豪州市場の変貌と急躍進する中国車

2026年1月から7月累計のオーストラリア新車販売上位10社(画像:FCAI)
2026年1月から7月累計のオーストラリア新車販売上位10社(画像:FCAI)

 長年、日本車が優位に立ってきたオーストラリア市場の景色が大きく変わりつつある。

 きっかけは、中東情勢の長期化にともなうガソリン価格の高騰だった。消費者の関心はエネルギー効率の高い電動車へと一気に傾いている。

 この流れに乗って存在感を強めているのが、比亜迪(BYD)や長城汽車(GWM)、奇瑞汽車(Chery)といった中国系ブランドだ。独自の直販体制と強固な部品調達網をいかし、市場へ深く入り込んでいる。

 勢力図の移り変わりは数字にも表れている。2026年4月の新車輸入台数を見ると、中国車が3万6000台に達し、日本車の2万9000台を抜いた。1998(平成10)年以来、28年にわたって日本が守り続けてきた輸入元トップの座が入れ替わった形だ。

 EV需要の伸びも際立つ。連邦自動車産業会議所(FCAI)のまとめによると、同年7月単月のバッテリー式電気自動車(BEV)販売台数は2万3510台だった。これは新車市場全体の21.7%に相当し、1月時点の8.4%から半年ほどで約2.5倍へ膨らんでいる。年初からの累計でもBEVの割合は17.3%に届く。

 急激な電動化が進むなか、日系ブランドはセダンや中小型スポーツタイプ多目的車(SUV)の分野で販売を落としている。1月から4月までの実績を比べると、中国車14ブランドの合計が前年同期比40%増の9万3539台へ伸びた。対する日本車全体は同20%減の15万797台まで後退している。およそ3万5000台分の需要が、日本車から中国車へ移った計算になる。

 各社の状況を追うと、ピックアップトラック「D-MAX」などが好調だったいすゞ(6.7%増)を除き、日系メーカーは軒並み厳しい数字を残した。車種の入れ替え時期にあたる日産が32.2%減、三菱が25.5%減となり、首位を走るトヨタも22.7%減に沈む。スズキ(23.4%減)、スバル(19.3%減)、マツダ(13.1%減)も同様に販売ペースを落としている。

 一方でBYDは前年同期比110.8%増というペースで売り上げを伸ばした。4月単月では主要な競合メーカーを抜き、ブランド別の販売台数でトヨタに次ぐ2位へ躍り出ている。

全てのコメントを見る