なぜ日本人は「海外旅行」へ行かなくなったのか? もはや富裕層の趣味?――潜在需要1位なのに行けるのはわずか7%という厳しい現実
海外旅行の潜在需要は15.5%と全レジャー首位を誇る一方、平均35万5600円に達する渡航費用や円安が重くのしかかり、実際の参加率は6.7%にとどまる。パスポート保有率が17%へと沈む中、市場は高額リゾートと近距離節約旅へ二極化。かつての大衆レジャーが変容を遂げる、観光経済の構造変化に迫る。
二極化が進む海外旅行市場の分岐点

現在の海外旅行市場は、単に富裕層しか行けない閉ざされた市場に成り下がったわけではない。
・潤沢な資金を投じられる層
・限られた予算の範囲内で旅行の条件を柔軟に組み替える層
へと、参加の形態が多様化(分化)していると捉えるべきだ。
とはいえ、積み上がった未実現の需要を具体的な行動へと転換させるには、個人の熱意や家計のやり繰りだけでは限界にきている。日本発の需要が、再び国際的な航空網の中から十分な座席供給を引き出せるだけの市場としての体力を維持できるか。あるいは、出入国に伴う税負担の軽減措置や、格安航空会社の新たな路線開拓といった、制度的・インフラ的な環境整備が進むかどうかも大きなカギを握るだろう。
海外旅行市場の行方は、個人の所得や為替、航空運賃、休暇の取得しやすさといった国内要因のみならず、国際的な供給体制の動向にも深く左右される。
行きたいを行けるに変えるハードルがかつてなく高まる中、高単価を前提とした限定的な市場として定着するのか。それとも、再び幅広い層へと門戸が開かれるのか。日本の余暇市場は今、その分岐点に立たされている。