月額わずか1200円! 6月スタートのドイツ「乗り放題チケット」は公共交通の在り方を変えられるか?
ドイツで6月1日から「9ユーロチケット」の取り組みが始まる。チケットを購入すると、ドイツ国内の公共交通機関が1か月9ユーロで乗り放題になる。このチケットは、バカンスシーズンの観光客には魅力的だ。
日本における公共交通機関関連の対策
最後に、日本における公共交通関連のエネルギー価格高騰対策や気候変動対策に少しだけ触れておこう。
【無料セミナー】「自動車DXサミット vol.3」 三菱ふそう KTC マツダ登壇 Amazonギフトカードプレゼント〈PR〉
現在、エネルギー価格高騰対策として、元売り事業者等に価格抑制原資を支給する激変緩和事業が行われている。なお、LPガスを使用しているタクシー事業者には、激変緩和に向けて別途支援を実施するとのことだ。このほか、離島航空路も支援の対象となっている。
一方、気候変動対策では、鉄道や船舶分野の省エネ化、モーダルシフト(自動車での貨物輸送をより環境負荷の小さい鉄道や船舶での輸送へと転換すること)の推進、代替燃料の開発など幅広く行っている。
以上の施策は、事業者向けの支援であるものの、最終的には利用者も間接的に恩恵を受けているのだろう。しかし、9ユーロチケットのように、利用者が直接恩恵を受ける対策とはいいがたい。われわれが直接恩恵を受けている施策があるとすれば、新型コロナウイルス感染拡大に伴う観光需要喚起対策「GoToキャンペーン」ぐらいである。
今回の9ユーロチケットのような国内乗り放題の公共交通機関利用促進施策は、世界的に見ても類がない。この施策の成否や効果のみならず、チケットの利用動向や期間終了後のモビリティの変化など、興味はつきない。