これぞ「技術の日産」の神髄だ――無給油で1980km走破! e-POWERは“高速道路の本場”で勝利できるのか?
再建を懸けた北米市場での巻き返し

そもそも日産の北米工場は年間100万台規模の生産能力を持つが、現状の稼働率は50%程度にとどまっている。近年、主力である米国市場において過度な値引きに頼ったことで収益が悪化し、深刻な経営危機に陥っていた。2024年11月には大規模な人員削減を含む構造改革を発表。その後、ホンダとの経営統合に向けた話し合いも進められたが、組織文化の摩擦などを理由に2025年2月に破談を迎えている。
この窮地を切り抜けるため、新たにトップに就いたイヴァン・エスピノーサ最高経営責任者(CEO)のもと、痛みをともなう大リストラ策「Re:Nissan」が断行された。国内の歴史ある追浜工場の車両生産ラインを閉じ、横浜本社ビルの巨額売却にまで踏み込んでいる。こうした血の滲むような選択と集中、そして新型車に積んだ第3世代e-POWERの世界的なヒットが重なり、2026年5月の決算では3年ぶりとなる最終黒字転換を果たした。
同時に日産は、長期的なビジョンとして「モビリティの知能化で、毎日を新たな体験に」を掲げている。これまでの商品展開を改め、ラインアップを56車種から45車種へと大胆に絞り込む。共通の車台を活かした開発体制へと移る方針だ。生き残る車種の9割に対しては、AIを用いた先進安全技術を持たせることで、「技術の日産」というブランドの立て直しを急ぐ。
北米市場での販売目標は、2030年度に100万台としている。日本や中国と並ぶ重点地域との位置づけだ。今後は、現地の売れ筋である次世代「ローグ・e-POWER」の投入にとどまらず、V6エンジンを積む「エクステラ」のような堅牢なフレーム車で商品力を高め、他社のハイブリッド勢からシェアを奪い返す構えを見せる。高級ブランドであるインフィニティでも新型モデルを次々と繰り出し、収益の柱に育てていく。
厳しい構造改革を経て、満を持して北米へ放つ第3世代e-Powerは、日産にとって
「起死回生のカード」
となるのか――無給油での長距離走行という記録で世界に実力を示した同社が、熾烈な北米市場でいかに巻き返しを図るのか。現地での今後の販売動向から目が離せない。