これぞ「技術の日産」の神髄だ――無給油で1980km走破! e-POWERは“高速道路の本場”で勝利できるのか?
高速巡航の課題と北米市場への布石

e-Powerは、走り出しから中速域まではバッテリーの電力でモーターを回し、速度が上がるとエンジンを動かして電気を作りながら走る。そのため、ストップ・アンド・ゴーの多い市街地や渋滞路ではEV並みの滑らかな加速を味わえる。しかし、広大な国土を持つ米国のように、高速道路を使って長距離を移動するユーザーが多い地域では、その仕組み自体が弱点になりかねない。
米国の高速道路は制限速度が時速112~120km(70~75マイル)に設定されており、実際の車の流れは時速120~130kmに達することが多い。この速度域での定速巡航になると、ライバルであるトヨタやホンダのHVは、クラッチをつないで「エンジン直結駆動モード」に切り替わる。エンジンの力を直接タイヤに伝えるため、エネルギーの伝達効率は実質95%前後と極めて高い。
対するe-POWERは、エンジンと車軸を直結するギアを持たない。どれだけ速度が上がっても
「エンジンで発電 → ジェネレーター → インバーター → モーター → 車軸」
という電気的な変換プロセスを必ず経由する必要がある。熱などの損失が生じるため、全体のエネルギー伝達効率は86%以下に落ち込んでしまう。時速120km以上の巡航を続けると、一般的なガソリン車よりも燃費が悪くなるという物理的な壁に直面していたのである。
こうした背景から、e-Powerは北米市場には適さない技術として長らく投入が見送られてきた。だが日産は今回、現地の屋台骨であるミドルサイズSUV「ローグ(日本名エクストレイル)」の2027年モデルに、北米初となる第3世代e-POWERを載せると決断した。
長年の課題だった高速域での燃費性能を、高速走行に合わせた最適化仕様を組み込むことで乗り越えたのだ。北米のエコカー市場でシェア拡大を狙ううえで、大きな転換期となるだろう。