「えっ、まだETC付けてないの?」 利用率95%の高速道路でなぜ購入支援を続けるのか――料金所再編、その先に何がある?
利用率95.3%、普及率90%超を誇るETC。成熟期にある今、高速各社が最大1万円の購入助成に踏み切る背景には、料金所の完全専用化へ向けた決断がある。二重運用の解消と人手不足への対応を図り、インフラの全面デジタル化を推進。ロードプライシングや民間決済連携を見据えた道路経済の現在地を追う。
渋滞低減の恩恵と個別利用事情への配慮

高速道路の仕組みが変わるなかで、利用者が受け取る恩恵の形も変わりつつある。通信決済の導入による大きな効果は、料金所での一時停止を必要とせずスムーズな通行が可能になった点にある。
かつて現金やハイウェイカードの手渡しで行われていたやり取りが解消されたことで、市場を介さずに第三者へ損失を与える外部不経済の典型であった料金所渋滞の発生頻度は大幅に減った。
この通行のスムーズ化にともない、かつて本線上に設置されていた東名高速道路の豊川料金所、北陸自動車道の米原料金所、中国自動車道の山崎料金所、首都高速1号羽田線の平和島料金所、首都高速湾岸線の大井料金所といった料金徴収施設が廃止され、走行の流れを止める構造そのものが姿を消しつつある。
一方で、利用環境の違いによる課題も残る。二輪車用ETCは四輪車に遅れて2006(平成18)年に運用が始まったが、高い防水性や耐振動性が求められるため開発コストが高騰し、導入負担が重いという背景があった。
また、安全管理や不正通行対策を目的として長年義務付けられていた個人情報の共同取得制度も、道路整備特別措置法の改正を受けて2025年12月をもって終了し、保有データが2026年3月末までに廃棄されるなど制度面の見直しが進んでいる。
車載器の購入費用やスマートフォンなどを介したセットアップ手続きといった準備の手間は個々の利用環境に応じた選択の要素となっており、公共性の高いインフラとして多様な使い方にどう寄り添うか、バランスを探る試みが続いている。