「被災確認に2日以上かかります」 東海地区の自動車製造業で広がる初動の空白! なぜ現場は「報告待ち」から抜け出せないのか?

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JITがもたらした高度な効率化が、有事の脆弱性に直面している。東海地区の自動車業界では被災把握に2日以上を要する企業が54.3%を占め、BCP対応の自信はわずか7%にとどまる。1410兆円規模とされる南海トラフリスクに対し、モノから情報の動線を整えるDX連携の足腰が試される。

JITの稼働を支える正確な情報

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 必要な部品を最適なタイミングで供給するジャストインタイム(JIT)は、長らく自動車産業の生産効率を支えてきた。余分な在庫を抱えず、工程間の無駄を徹底的に省くこの限量経営の技術体系は、約3万点もの部品と無数の企業が連なる自動車づくりの現場と極めて相性が良かったといえる。

 ただし、在庫を極限まで削ぎ落とすJITには、部品供給がわずかでも滞ればサプライチェーン全体が麻痺しかねない脆弱性も潜む。2011(平成23)年の東日本大震災が好例だ。自動車用マイコンで世界シェアを握るルネサスエレクトロニクスの那珂工場が被災した結果、直接の被害を免れた国内外の工場までもが長期の操業停止を余儀なくされた。自然災害だけでなく、感染症や地政学的な緊張など、一企業では統制しきれないリスクが増大する昨今、物理的なネットワークに依存した従来型モデルは限界を迎えつつある。

 そこで改めて問われるのが、モノではなく「情報」の流れだ。

 本来、JITの基本原則である後工程引取方式は、生産指示を伝えるカンバンによって制御されてきた。ただ、物理的な帳票では伝達遅延や紛失のリスクがつきまとうため、近年は電子カンバンへの置き換えが進む。どこに店(MISE = 在庫拠点)を構えるかの最適化も含め、サプライチェーンの川上から川下まで情報が同期されなければ、メーカーや部品会社が先回りして動くことは難しい。情報の遅滞は、生産現場における判断の遅れを直撃する。

 単に部品の到着に時間がかかること自体が問題なのではない。いま、どこで何が起きているのか――サプライヤーの稼働状況や物流の遅れ、さらには需要の変動などを一定の精度で即座に把握することが、JITを正しく機能させる大前提となる。裏を返せば、情報伝達の遅れは、JITの運用そのものに致命的な空白を生じさせてしまう。

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