鉄道・高速バスともに貧弱 交通アクセス微妙な「ウーブン・シティ」が成功するためには一体何が必要か

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トヨタの豊田章男社長が発表して以降、着々と計画が進んでいる実験都市「ウーブン・シティ」。人口2000人規模の実験都市で、静岡県裾野市は経済効果に期待を寄せている。最寄り駅のロータリーを駅前交通広場として整備する計画もある。

小型モビリティー活用への懸念

「CES 2020」で登壇したトヨタ自動車の豊田章男社長兼CEO。日本の富士山麓の175エーカーの敷地に未来の「都市」のプロトタイプを建設する計画を明らかにした(画像:AFP=時事)
「CES 2020」で登壇したトヨタ自動車の豊田章男社長兼CEO。日本の富士山麓の175エーカーの敷地に未来の「都市」のプロトタイプを建設する計画を明らかにした(画像:AFP=時事)

 また基本計画では、岩波駅とウーブン・シティとの間に小型モビリティーや歩行者が安全に往来できる道路空間を整備することも示されており、これも都市完成後の来訪者増加をにらんだ事業といえる。ここでは、近くを流れる黄瀬川の景観を楽しめるカフェなどが入る複合施設の整備も計画されている。

 ただ、小型モビリティーの導入は、近年開発された都市で多く見られるが、岩波駅周辺の整備という点で見れば問題点がある。

 それは、小型モビリティーが安全に利用できる道路をどれだけ広げられるか、である。現状、駅周辺は最大でも片側一車線ずつの狭い道路ばかり。岩波駅とウーブン・シティとの間には裾野バイパスを越える区間もある。ウーブン・シティ内では人車の分離が計画的に進められているが、岩波駅周辺の道路は大幅な整備をしなければ、小型モビリティーの活用は難しいだろう。

 クリアしなければならない問題点を多く抱えるウーブン・シティと、それに湧く裾野市――。豊富になった財源で再開発をどう進めるのか、今後に注目したい。

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